i-PRO株式会社は、屋外用ハウジング一体ネットワークカメラに、高倍率ズームと長距離照射IR-LED、AIプロセッサを搭載した「Sシリーズ」3機種と、「Xシリーズ」1機種の新モデル4機種を追加したAIカメラを、2025年2月より発売すると発表した。
AIカメラとは
AIカメラとは、AIのアルゴリズムが搭載されたカメラのことだ。撮影された映像をAIが解析し、物体や文字などを認識したり、動きを捉えたりすることができる。
AIは、カメラ自体にコンピューターが搭載されているケースや、カメラとコンピュータが別のハードウェアのもの、カメラで取得した映像をクラウドにアップロードして、クラウド上のAIで処理を行うものなどがある。
AIカメラ自体にコンピュータが搭載されている場合、アップデートをする際、一つのデバイスだけを対象とすれば良いため、管理が容易であるというメリットがある。一方で、カメラの性能だけを向上したい、コンピュータの性能だけを向上したいといった場合には対応が難しいという特徴がある。
カメラとコンピュータが別々の場合は、用途に応じたカメラ・コンピュータを選択することができる一方、2系統の電源を確保する必要があったり、特別なケーブルやネットワークを準備する必要があったりするというデメリットもある。
AI処理をクラウドで行う場合は、クラウドにアップロードするための機材が別途必要となるほか、必要な情報だけをクラウドにアップロードするのか、大量のデータをクラウドに保管して比較分析するのかなど、構成を考えて構築する必要がある。
また、カメラの性能や、どのようなAIが搭載されているかは製品によって異なるため、用途に応じて選択する必要がある。
屋外用ハウジング一体ネットワークカメラ新モデルの概要
今回i-PROが発表した新モデルは、AIアプリケーションをライセンス購入やインストールすることが可能な、カメラ自体にコンピューターが搭載されているタイプで、AIによる識別や自動通報などの活用とあわせることが可能なカメラだ。また、AI処理と連携した独自のスマートコーディング技術でデータ量を削減しているのが特徴だ。
カメラの性能としては、10倍/30倍の高倍率ズーム、照射距離180m/130m/100mのIR-LED照明を搭載している。
これにより、2MPモデルの「WV-S15301-Z1LN」「WV-X15301-Z1LN」では、例えば、性能を向上させたナンバー認識アプリと組み合わせることで、これまで検知しきれなかった距離や速度60km/hの車両ナンバーの識別が可能になる。
また、AI性能とCPU性能を高めたXシリーズでは、有償のAI動体検知アプリケーションAI-VMDをインストールすることで「AI現場学習アプリケーション」を無償で使用でき、特有の検知対象を追加したり、誤報失報の学習による閾値を変更したりすることが可能だ。
AIアプリケーションには、ナンバー認識、車両属性識別、人物属性識別などがあり、ナンバー認識アプリケーションの機能拡張対応モデルとして、これまで従来機種では撮りきれなかった車両距離や走行速度にも対応しているとのことだ。
なお、Xシリーズの「WV-X15301-Z1LN」には、設置現場で環境に応じた追加学習を可能にした「AI現場学習アプリケーション」がプリインストールされている。
加えて、第3者機関発行の電子証明書「Global Sign」もプリインストールされているほか、ハードウェアは暗号化モジュールのセキュリティ要件を定めた規格「FIPS 140-2」のLevel3に認定されている。また、Xシリーズでは、カメラの乗っ取りを防ぐセキュアブートを搭載しているほか、国際電気標準会議が定めた防塵防水規格はIP67/IP66、耐衝撃保護等級はIK10に対応している。
想定活用シーンは、大型駐車場やインフラ施設、工場や物流センターなど、アクセス制限エリアの入口や施設敷地内の道路など、夜間を含めて特定のエリアを長距離で詳細に監視し、車両の形状やナンバー、人物の識別などを行いたい場所が挙げられている。
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