STマイクロエレクトロニクス(以下、ST)は、ワイヤレス・ソリューションの設計を簡略化し、バッテリを長寿命化するワイヤレスSoC「STM32WL33」の提供を開始した。
「STM32WL33」は、sub-GHz長距離無線、Arm Cortex-M0+コア、スマート・メータ機器に最適化された周辺回路、省電力機能を内蔵したワイヤレスSoCだ。
「STM32WL33」の特徴としては、少ない電力消費で効率的な無線通信ができ、無線通信範囲を最適化するという点や、バッテリーの交換頻度が少ないという点などが挙げられている。
IoTでの活用が想定されており、電力・ガス・水道用スマート・メータや、警報システム、スマート・ビルディング機器、アセット・トラッキング、近接検知などでの使用に適している。
また、従来のコイル・ベースの機械式メータと併用できる、独自のアナログ流量センサ・コントローラ「LCSC」を内蔵している。これにより、いかなるマイコンの干渉もなく液体流量測定が可能で、水道メータ製品の設計の効率化と最適化が可能だ。
「LCSC」の特性により、安全性が確保され、水道メータ製品の統合およびコスト構造を最適化しつつ、バッテリ寿命を15年以上に延長することが可能となった。
さらに「STM32WL33」は、超低消費電力(4.2µA)の受信専用の広帯域無線を内蔵しており、メイン通信無線をオフにして消費電力を抑えた状態で、ウェイクアップ信号を受信することができる。
この常時オンの無線はバッテリ消費量への影響がごくわずかで、適切なRFウェイクアップ信号を受信するとすぐに反応するようなスタンバイ・モードも備えている。
応用機器の事例としては、スマートメータ機器のデータ読み取りや、バッテリ駆動モニタリング・ソリューションではウェイクオン・サービス機能があるため、ファームウェア・アップグレードを適用できる。
また、このOOK変調されたウェイクアップ信号を発信する固定位置ビーコンタグを使うことで、例えば流通産業や倉庫産業において、アセット・トラッキングや位置情報のタグを使った便利なソリューションを実現することが可能だ。
他にも、プログラム可能なメモリや、周辺回路、セキュリティのオプションなどの機能を内蔵しており、応用機器を構築できる。
なお、「STM32WL33」の全製品は、413MHz~479MHzまたは826MHz~958MHzのライセンス・フリー帯域で動作し、派生製品の「STM32WL33CCV6A」は169MHz帯で動作する。
STは、このワイヤレスSoCにSTのMEMSモーション・センサと環境センサを組み合わせることで、ML/AIアルゴリズムとST提供のツールセットを活用できるとしている。
また、「STM32WL33」シリーズを使用した開発では、広範なSTM32開発エコシステムを利用できるとのことだ。
今回、同シリーズ専用のSTM32CubeWL3ソフトウェアおよびミドルウェア、NUCLEO-WL33CC1ボード(868/915MHz開発向け)、NUCLEO-WL33CC2(433MHz向け)が追加された。
さらに、「STM32WL33」マイコン専用の整合フィルタ(MLPF-WL-01D3/02D3/04D3)が提供されている。
「STM32WL33K8V6」はQFN32パッケージで提供され、大量購入時の参考価格は約2.03ドルだ。開発ボードである「NUCLEO-WL33CC1」および「NUCLEO-WL33CC2」は、STのeStoreまたは販売代理店から入手可能で、価格は約50.00ドルとなっている。
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