Classiq他、材料開発用途での量子コンピュータ早期実用化へ向け量子回路を最大97％圧縮

量子コンピュータでアルゴリズムを実行するには、量子回路という形式で実装する必要があり、回路が長いほど、計算中のエラー発生のリスクが高まる。

三菱ケミカル株式会社は以前より、有機EL材料開発への量子コンピュータ適用を題材に、量子近似最適化アルゴリズムを用いて新材料における最適解の探索研究を行ってきたが、長い量子回路の操作が必要なため、量子ビットの状態に影響を与えるノイズの影響が蓄積し、実機の計算精度が担保できないことが課題となっていた。

こうした中、Classiq Technologies（以下、Classiq）は、デロイト トーマツ グループおよび三菱ケミカル株式会社とともに、量子回路を圧縮し、高性能な有機ELの材料探索の計算に活用する実証実験に成功したことを発表した。

実証実験では、2つの量子アルゴリズムの実装形態である2種類の量子回路のうち、一方で最大97％、もう一方で最大54％の圧縮を実現した。

そして、デロイト トーマツが、三菱ケミカルの保有する材料探索向けの実データと、Classiqの量子回路設計技術を掛け合わせることで、実材料のデータを用いた有望な材料探索の場面での量子回路圧縮が可能かを検証した。

その結果、効率的な量子回路設計技術を活用することで、新材料探索時の計算精度向上の可能性が示されたという。

3社はこの結果から、化学分野に加え、実証で用いた回路圧縮の手法が様々な量子回路に適用できることから、創薬、AI、金融、製造、物流など幅広い分野での量子コンピュータの早期実用化を加速させるとしている。

IoTNEWS編集部

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