株式会社日立製作所(以下、日立)と楽天グループの研究開発機関である楽天技術研究所(以下、楽天)は、大規模な組合せ最適化問題を高速かつ高精度に解く新たな手法を開発した。
この手法は、イジングモデルの動作を半導体のCMOS回路で擬似的に再現する、日立のCMOSアニーリング技術と、楽天の、ネットワーク構造のデータを扱うことができるニューラルネットワークの一種であるグラフニューラルネットワーク(以下、GNN)技術を組み合わせたものだ。
具体的には、まずメインGNNを圧縮してサイズの異なる複数のサブGNNを順に作成し、それぞれの解をCMOSアニーリング技術で求める。
次に、得られた解を教師データとしてサブGNNに機械学習させ、その結果をメインGNNにフィードバックすることで、計算時間の短縮と計算精度の向上を可能にしている。

この手法を、ソーシャルネットワークの分析などに応用が期待される「最大独立集合問題」や「最大カット問題」などに適用して検証した結果、GNN技術単体の場合と比較して、10万変数以上の問題に対して、計算時間を最大20%短縮し、計算精度を最大35%向上させることが確認された。
これにより、配送計画の最適化などの分野での応用が期待されている。
今後日立は、同技術を材料開発やレコメンデーションシステム、電力需給関連事業などの分野での応用を目指し、大学やアカデミアを含めたパートナーとの技術連携を進めていくとしている。
なお、成果の一部は、2024年12月15日にバンクーバーで開催された「ML with New Compute Paradigms(MLNCP)at NeurIPS 2024」で発表されたとのことだ。
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