STマイクロエレクトロニクス(以下、ST)は、大規模かつ高精度の位置情報取得に対応する、全地球航法衛星システム(GNSS)レシーバの「Teseo VI」ファミリを発表した。
「Teseo VI」は、センチメートル精度の実現に必要なすべてのシステム要素を1チップに集積した製品だ。マルチ衛星・クアッドバンド受信を同時にサポートする。
このファミリには、「Teseo VI STA8600A」と「Teseo VI+ STA8610A」があり、いずれも独立した2つのArm Cortex-M7コアを搭載しているため、IC(集積回路)の全機能をローカルで制御することが可能だ。
また、「Teseo VI+」は、STが認定したパートナー企業が提供する各種の高精度測位エンジンに対応しており、RTK受信によるセンチメートル級精度を実現する。
一方、同ファミリを完結させる「Teseo APP2 STA9200MA」では、2個のM7コアをロックステップ動作させることでハードウェア面での冗長性を確保し、電子機能安全ISO 26262 が定めるASIL-Bに準拠している。これにより、車両制御・誘導などに活用することができる。
また、「Teseo APP2」は、他のTeseo VIファミリとの間にピン互換性があるため、ASIL認証取得済み機器と非ASIL機器を製造する企業にとって、基板設計が容易になる。
全ての品種がSTのRFアーキテクチャを採用しており、GNSSベースバンド設計では、4バンドGNSSサポート(L1、L2、L5、E6)と、L5のみを受信およびトラッキングする独自機能を提供する。
これにより、高層ビルの谷間や妨害電波が存在する、受信が困難とされる環境でのロバスト性を向上させる。
また、ST独自の相変化メモリ(PCM)技術により、外付けメモリが不要になるため、システム部材コスト(BOM)を最小化する。加えて、セル面積が小さいため、スペース効率が求められる組み込み用途にも適している。
これらのICすべてに、セキュア・ブートや、OTA(Over the Air:無線通信)を活用したファームウェア更新、出力データ保護を含む包括的なハードウェア・サイバーセキュリティ機能が搭載されている。
さらに、STのハードウェア・セキュリティ・モジュール(HSM)も集積しているため、オンライン・ハッキングに対する保護を提供する。
これらの製品は、設計段階でサイバーセキュリティの組込みを義務付ける最新のUNECE R155およびISO 21434仕様に準拠している。
STのデジタル・オーディオおよびシグナル・ソリューション担当ジェネラル・マネージャーであるLuca Celant氏は、「STの新しいTeseo VIレシーバは、複数の理由から測位用エンジンにおけるブレークスルーを表している。まず、マルチ衛星に対応しつつ、最大4バンドの信号を同時に処理できる能力をシングル・チップに集積した初の製品だ。
また、デュアルArmコア・アーキテクチャを組み込んだ初の製品で、運転支援や自律走行向けに、非常に高い性能とASILレベルの安全性を実現している。ST独自の不揮発性メモリ(PCM : 相変化メモリ)を内蔵しており、新たな高精度測位ソリューションを実現するための高い集積度、コスト・パフォーマンスならびに信頼性に優れたプラットフォームを提供する。」と述べている。
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