Ansysは、同社のシミュレーションソフトウェア「Fluent」や「AVxcelerate Sensors」をはじめとする一部の製品で、NVIDIAのリアルタイムシミュレーションプラットフォーム「NVIDIA Omniverse」との統合を実施すると発表した。
これにより、高度なデータ処理と可視化機能が強化され、シミュレーションプロセスの効率化が期待される。
通常、シミュレーションのためのデータ準備には、高品質なデータの確保や複数のソフトウェア間の相互運用性が求められる。しかし、これまでの方法では、ユーザは複数のソフトウェアプログラムで作業するが必要であり、可視化にも専用ツールや高度な専門知識が必要なケースが多かった。
そこで今回Ansysは、「NVIDIA Omniverse」の技術を統合することで、3Dシーンデータの相互運用性を向上させ、シミュレーションデータの準備を簡素化した。手作業によるデータ準備が自動化され、精度の高い3Dモデルの作成が容易になる。
これにより、シミュレーションの専門家が得た結果を、意思決定者やステークホルダーに直感的に伝えやすくなり、エンジニアリングプロセスの改善に貢献する。
特に、流体シミュレーションソフトウェア「AVxcelerate Sensors」のアプリケーションにおいて、その効果が期待されている。また、Ansysユーザはインターフェース内でフォトリアリスティックな3Dモデルをレンダリングできるため、リアルタイムでのコラボレーションが可能となり、シミュレーション結果の共有がスムーズになる。
さらに、ユーザがAnsys製品とやり取りできるようにするPythonパッケージファミリであるPyAnsysは、シミュレーションデータを自動的にフォーマットするため、シミュレーション担当者や開発者は「NVIDIA Omniverse」上に構築された独自のアプリケーション内でシミュレーションをカスタマイズおよび自動化することができる。
既に、アスファルト道路建設、骨材処理、コンクリート製造用の特殊機器を製造する企業であるAstec Industriesは、Ansysを使用してアスファルトドラム乾燥機と水素バーナーを設計および最適化しているという。
同社の先端技術担当ディレクターであるAndrew Hobbs博士は、「FluentにOmniverseの技術を統合することで、複雑な物理シミュレーションを可視化できるようになった。これにより、装置の動作を詳細かつ直感的に理解できるようになり、設計の最適化が加速した。」と述べている。
なお、「NVIDIA Omniverse」を活用した一部の機能は、2025年第3四半期にAnsysのCFDソリューションおよび自律走行車ソリューションで利用可能になり、その後追加のアプリケーションも提供される予定だ。
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