STマイクロエレクトロニクス(以下、ST)は、日常のアクティビティ・トラッキングに最適化されたセンサと、最大320gまでの高g衝撃測定が可能なセンサを、AI処理機能と共に1つの小型パッケージに集積した慣性測定ユニット「LSM6DSV320X」を発表した。
「LSM6DSV320X」は、これまで個別のセンサが必要だった広範な加速度測定を、3mmx2.5mmの1チップに集積した慣性測定ユニットだ。
具体的には、 最大±16gの範囲で日常の動きや運動をトラッキングする「アクティビティ・トラッキング用加速度センサ」と、最大±320gの範囲で落下、衝突、激しい衝撃イベントを定量化する「高g衝撃検出用加速度センサ」といった2つの加速度センサに加え、検出範囲±4000dpsのMEMSジャイロセンサも内蔵している。
さらに、ST独自のMEMS(微小電気機械システム)設計技術と、エッジAI処理を可能にする機械学習コアを搭載。その組み込みAI処理機能がセンサ内で直接推論を処理することで、システムの消費電力を削減しながらアプリケーションの性能を高める。
そして、2つの加速度センサは互いに干渉することなく、最適な性能が発揮できるように設計されている。
また、モジュール内でのモーション・トラッキングに役立つステート・マシンに加え、このデジタル回路にはSTの低消費電流センサ・フュージョン技術が搭載されており、空間的な位置認識にも対応している。
利用用途としては、モバイル機器やウェアラブル端末に加え、スマート・タグ、アセット・モニタ、イベント・データ・レコーダ、大規模インフラなどのシステムやアプリケーションが挙げられている。
なお、開発を容易にするため、STは低gと高gの加速度センサーデータをインテリジェントに融合する特許取得済みのソフトウェア・ライブラリ「Motion XLF」や、無償のグラフィカル設計ツール「MEMS Studio」(ST Edge AI Suiteの一部)、ウェブベースの開発環境「ST AIoT Craft」などを提供するとのことだ。
「LSM6DSV320X」は現在、「ST Edge AI Suite」でサポートされており、2025年末までに「ST AIoT Craft」に追加される予定だ。
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