多種多様な電子機器に半導体を提供する世界的半導体メーカーのSTマイクロエレクトロニクス(以下ST)は、スマート・メータ用システム・オン・チップ(SoC)ファミリであるSTCOMETに関する重要な進捗を発表した。これにより世界中の電力会社は、スマート・グリッド技術を活用し、再生可能エネルギーを含む多様な資源を組み入れた持続可能な電力供給が可能になる。
STCOMETは、スマート・メータの主要規格に準拠した電力線通信(PLC)モデムを含む重要な機能を1チップに集積しており、スマート・メータの設計を簡略化する。STは、STCOMETの普及に不可欠である最大500kHzまでの周波数帯域(FCC(※1) 帯域等)に対応した最新のG3-PLC(※2)およびPRIME2 v1.4-profile(※3)規格の認証を取得した。ヨーロッパのCENELEC-A(※4)に対応したG3-PLCおよびPRIME v1.4の認証をすでに取得していることから、STCOMETは、世界で使用されている全ての主要規格の認証を取得したことになる。
また、STは、STCOMETファミリのラインナップを4製品に増やした。これにより、メータ設計者は、さまざまな市場や分野のニーズに応じて、アプリケーションを柔軟に拡張することができる。STCOMET05およびSTCOMET10は、プログラム格納用の内蔵Flashメモリ(STCOMET05:512KB、STCOMET10:1MB)、アプリケーション処理用サブシステム、専用セキュリティ・エンジン(プライバシー保護とアンチハッキング保護)、高精度なメータ用フロントエンド、およびPLCモジュールを搭載している。アプリケーション・プロセッサ、セキュリティ・エンジン、PLCモジュールを集積したシンプルなSTCOM05およびSTCOM10は、メータ設計者が使用するメータ用フロントエンドICと柔軟に統合できる他、STが取得している国際的認証の活用によりプロジェクトの完遂を加速することができる。
また、STCOMETは、スマート・グリッド・プロジェクトであるSOGRIDの一環として、フランスのトゥールーズで1000世帯に設定されているスマート・メータに採用されている。STは、自動化ネットワーク管理を実際の運用条件下で調査することを目的に実施されているコンソーシアムSOGRIDのメンバーだ。このコンソーシアムは、ERDF(※5)に主導されている。
SOGRIDなどのプロジェクトがスマート・メータやスマート・グリッドの進化を牽引する中、プログラム可能かつファームウェアのアップグレードに対応したST独自のアーキテクチャは、同一設計を利用した多種製品の開発や、将来の変更にも柔軟に対応できるため、長期運用コストを最小化することができる。STは、STCOMET搭載する単相・三相スマート・メータの迅速な開発をサポートする充実した開発エコシステムを有している。この開発エコシステムには、認証済みのプロトコル・スタック、リファレンス設計、プロトタイプ作成用ハードウェア、および各種ツール(電力計測管理用のソフトウェア・ドライバ等)が含まれている。
※1 FCC:米国連邦通信委員会(Federal Communications Commission)
※2 G3-PLC:G3-PLC Allianceによってサポートされている狭帯域低周波数電力線通信のためのプロトコル
※3 PRIME:PRIME Allianceによってサポートされている電力線通信アーキテクチャ(PoweRline Intelligent Metering Evolution)
※4 CENELEC:欧州電気標準化委員会
※5 ERDF:フランスの世界的な電力会社EDF(フランス電力会社)の配電子会社
【関連リンク】
・STマイクロエレクトロニクス
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