マイクロソフトとPreferred Networksは、2017年5月23日にディープラーニング分野での協業を発表した。そして今回、その協業における最新の状況を発表した。
深層学習ソリューション開発
この協業の柱の一つは、両社の深層学習関連技術を組み合わせて、深層学習関連のソリューション開発を行うことだ。本日、プロジェクト「ONNX(Open Neural Network Exchange)」(※1)にPFNと同社のDeep Learning Framework “Chainer” が参加することを発表した。
※1 マイクロソフトとFacebookによる共同プロジェクト。異なるディープラーニングフレームワーク間でAIモデルの相互運用性の実現を図る取り組み。
PFNのディープラーニングフレームワークChainerと、今後産業界から要望が多くなることが予想される各種Edgeデバイスに最適化したニューラルネットワークの配布を両立できるような取り組みが目的だという。
マイクロソフトのAI関連ソリューションとChainerを統合する取り組みも進められている。代表的な例として、数時間かかる深層学習の環境構築作業を、仮想マシンを立ち上げるだけで進められるように、Azure Data Science VMへChainerを同梱するという。
なお、半年前にChainerの同梱を開始して以来、日本におけるAzure Data Science VMの使用量はそれまでの4倍にまで増加するまでになっており、深層学習への関心の高さが伺える結果となっているということだ。
また、ChainerMNとInfiniBand搭載のAzure GPUクラスタを活用し、128GPU上で100倍の学習速度の速度向上を実現することで、深層学習における課題であるニューラルネットワークの学習時間の増大に対応。手間のかかる複数ノードへの展開を自動化するためのAzure Resource Manager Templateの作成やXtreme Design社との協業も進めている。
深層学習ビジネスコミュニティDeep Learning Lab
ディープラーニングを中心とした先端技術の持つ可能性を、実際のビジネスへ応用するべく、技術とビジネスの両面に精通したプロフェッショナルたちが集まるコミュニティDeep Learning Lab(DLL)は、設立以来半年間で12回のコミュニティ勉強会を日本各地で実施されてきた。
メンバー数は1700名以上、今後、各業種業態に応じた分科会を設置し、成功事例に関する情報共有や、今使える深層学習ソリューションを紹介していく予定だという。
また、アイシン・エィ・ダブリュの深層学習を用いたカーナビゲーションシステムにおける描画異常検知システムや、マネックス証券様の文書校正ツールなど、DLLでの活動をきっかけに、企業での深層学習プロジェクトも進んでいるということだ。
深深層学習ハンズオン”DEEP LEANING LAB “ACADEMY”を全国展開
DLLにて開催してきた深層学習のハンズオンが、経済産業省から「第四次産業革命スキル習得講座認定制度」(通称「Reスキル講座」)として認定された。
これにともない、同ハンズオン内容を”DEEP LEANING LAB “ACADEMY”として、パートナー企業経由で各都市で開催するともに、受講者は、2018年4月より受講費用(三日間のコースで20万円)の7割について補助を受けることができるようになり、一層の受講層拡大が見込まれる。
今後は、深層学習プロジェクトを進めるにあたり、その大半を占めるデータ収集・加工や、ニューラルネットワークのデプロイメントや業務組込みなどを含む包括的なトレーニングカリキュラムを追加する予定だという。
【関連リンク】
・マイクロソフト(Microsoft)
・プリファード・ネットワークス(PFN)
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技術・科学系ライター。修士(応用化学)。石油メーカー勤務を経て、2017年よりライターとして活動。科学雑誌などにも寄稿している。