三菱商事株式会社と日本電信電話株式会社(以下、NTT)は、デジタルトランスフォーメーション(DX)による産業バリューチェーンの変革と新たな価値創出を目的とした業務提携に合意した。三菱商事においては対象産業を跨る横断的なICT企業との業務提携は初の取組みであると同時に、NTTにおいてもB2B2X(※1)ビジネスにおける総合商社との広範囲での業務提携は初の取組みとなる。
同提携を通じ、両社の強みである産業知見とICT技術を相互に補完し、あらゆる産業に対してDX促進に向けたソリューションを一貫して提供可能な「産業DXプラットフォーム」を構築し、産業のデジタル化と社会的課題解決を目指す。
また、三菱商事の国内外約1,500社の事業投資先、及び10の営業グループの事業経営力とNTTグループの国内外900社を超えるグループ各社のケイパビリティを有機的に融合し、国内外のスタートアップや各産業の企業とも広くオープンに連携することで、産業構造変革を加速していく。
まずは、三菱商事が事業を構築し、ノウハウが蓄積されている食品流通分野、産業素材流通分野を対象予定としている。食品流通分野においては、DXを必要とする多くの業務プロセスが存在しており、試算によれば、その規模は年間4兆円以上に上るという。
食品流通各社と連携し、食品小売・メーカー・卸間で分断されている情報や業務プロセスの統合を図ることで、食品バリューチェーン全体の無駄・重複を排除した食品流通に貢献する。取組みにおける対象分野は順次拡大し、三菱商事とNTTは、数千億円規模の事業を創造していく方針だ。
更に、三菱商事とNTTは、位置情報サービス(ロケーションインテリジェンス)(※2)分野でグローバルサービスプロバイダーであるHEREへの共同出資を進めることで合意した。三菱商事とNTTは在蘭持株会社(出資比率50%:50%)を新設の上、在蘭持ち株会社を通じてHEREの3割の株式を取得する予定だ。
HEREは、カーナビゲーションや自動運転車向けの位置情報システムや地図を提供する一方で、近年は、非自動車産業向け事業の強化をめざし、保有する地図及び位置データを基盤としながら、物流や交通情報/ルート案内等のサービス起点でのソリューション提供力を強化してきた。HEREのソリューションは産業DXプラットフォームの中核技術の候補の1つとなり、日本及び成長著しいAPAC市場における更なる事業拡大をめざしている。
※1 他企業の顧客向け事業を支援・促進する事業。「B」は企業、「X」は顧客を意味し、個人、法人、従業員、官公庁などが該当する。B2B2Xの中央のBが「センターB」として、左のBのICTソリューションやDXサポートを受けて、両社の協業により、Xへの提供価値を継続的に進化させるビジネスモデル。
※2 これまでカーナビゲーションシステムに代表される自動車用途が中心であった位置情報を、高度化したデジタルデバイスやIoTセンサー、AIによる処理・分析等を活用しながら、幅広い産業用途向けにソリューション化、サービスとして提供するもの。
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