東京大学・凸版印刷・パナソニックなど、データ駆動型社会の実現に向けて「先端システム技術研究組合」を設立

DXの実現の鍵を握るのが、フィジカル空間(現実空間)とサイバー空間(仮想空間)をシームレスに繋ぐデータの活用である。すなわち、IoTデバイスでセンシングしたデータを5Gで集め、AIで高度な分析を加えてサービスとして提供する、データ駆動型社会を支えるシステムが求められる。

デジタル技術は、プラットフォームで発展・普及するため、従来のコストパフォーマンスに加えてタイムパフォーマンスが重要になる。すなわち、安く高性能であるだけでなく早く提供することも重要だ。専用チップ(※1)を最先端プロセスで製造すると高い性能を得ることができるが、開発には多大な費用と年月を要することが課題だった。

国立大学法人東京大学、凸版印刷株式会社、パナソニック株式会社、株式会社日立製作所(以下、日立)、株式会社ミライズテクノロジーズは、「先端システム技術研究組合(Research Association for Advanced Systems)」(以下、RaaS)を設立した。

RaaSの研究開発目標は、専用チップの開発効率及びエネルギー効率を各々10倍高めることである。データ駆動型社会を支えるシステムに必要な専用チップを素早く設計できるアジャイル設計手法(※2)を研究開発して専用チップのデザインプラットフォームを構築し、オープンアーキテクチャ(※3)を展開することで専用チップの開発効率を10倍高める。

さらに、3次元集積技術(※4)を研究開発し、世界のメガファウンドリ(※5)で7 nm CMOS(※6)で製造したチップを同一パッケージ内に積層実装することで、エネルギー効率を10倍高める。

たとえば、複数のSRAMチップを3次元集積してDRAM並みに大容量の積層SRAMを実現する。タイミング設計の難しいDRAMに代えて積層SRAMを用いることにより、コンピュータを用いた自動設計で設計効率を改善する。さらに、積層SRAMと専用チップを同一パッケージ内に積層実装することで、エネルギー効率を改善する。

このデザインプラットフォームを活用して、各組合員は自らが実現したいシステムを開発して事業化を図る。

※1 専用チップ:特定(もしくは専用)の機能を実現するための集積回路のこと。
※2 アジャイル設計手法:ソフトウェアのアジャイル開発にならって、ハードウェアの実装修正を短期間で繰り返しながらチップを素早く(アジャイルに)開発する自動設計手法。
※3 オープンアーキテクチャ:設計や仕様などの全部または一部をオープン(公開、開放)にしたアーキテクチャ。RISC-Vが一例。
※4 3次元集積技術:従来のチップはシリコン表面に回路を平面的に配置したが(2次元集積)、そのチップを積層実装したり1枚のチップにトランジスタを積み重ねたりすることで、回路を立体的に配置する集積技術のこと。
※5 メガファウンドリ:半導体デバイスを生産する工場のこと。特に世界最大級の規模のファウンドリをメガファウンドリと呼ぶ。
※6 7 nm CMOS:P型トランジスタとN型トランジスタのチャネル長がおよそ7 nmである最先端半導体技術のこと。

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