経済産業省のDXに関するレポートで問題提起されたことで話題となった、いわゆる「2025年の崖」の主たる要因は、長年使われ続けてきた基幹システムの維持運用に費やされるコストや人的リソースとされている。
現在、崖を回避するため多くの企業が基幹システムの見直しを進めており、オンプレミスで構築されている「SAP ERP」の移行先として、SAPがパブリッククラウド上にて展開するマネージドクラウドサービス「SAP HANA Enterprise Cloud」を選択する企業が増加している。一方で、経営情報などの重要なデータにインターネットを経由してアクセスすることになるため、安定性やセキュリティポリシーの面から移行が難しいという例も出てきている。
NTTコミュニケーションズ株式会社(以下、NTT Com)は、さまざまなICTリソースをオンデマンドでセキュアに接続可能なインターコネクトサービス「Flexible InterConnect」において、SAP HANA Enterprise Cloudとの接続を開始した。
同サービスは、クラウドサービスやデータセンターなどを閉域網で繋いだネットワーク接続基盤で、さまざまなICTリソースへの安定・セキュアな通信を実現するサービスである。一方、SAP HANA Enterprise Cloudは、SAPが展開するマネージドクラウドサービスで、Amazon Web Services、Microsoft Azure、Google Cloud Platformのパブリッククラウド上で提供されている。
今回の接続開始により、以下の機能やサービスが利用できるようになる。
- 様々なパブリッククラウドでも対応可能
- マネージドネットワークにより基幹システムの安定化に貢献
- リソースをオンデマンドに変更可能
同サービスは、SAP HANA Enterprise Cloudで選択できるすべてのパブリッククラウド(AWS、Azure、GCP)に対して接続可能だ。このため、法人客は自社ポリシーに応じて最適なクラウドを利用することができる。
経営情報を統合的に管理するため、SAP HANA Enterprise Cloudには他の社内システムやSaaSなどのクラウドサービスから多くのデータが集積される。それゆえ、各リソースと接続するネットワークの品質が重要となる。
同サービスはSAP HANA Enterprise Cloudが採用する各パブリッククラウドと直接接続されているため、インターネットで接続するよりも、セキュアかつ安定して基幹データの処理を行うことができる。また、万一ネットワークでトラブルが生じた場合にも、NTT Comがその状況を把握して対処する。
同サービスでは、オンデマンドでの柔軟な制御が可能だ。例えば、月末に大量のデータ連携が発生する時にだけ帯域を増速することでコストを柔軟にコントロールしたり、SAP HANA Enterprise Cloudへ接続するシステムを追加・削除したりすることも、ビジネス上の必要に応じて実施することができる。
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