近い将来、コネクテッドカーが爆発的に増加し、走るセンサーである車両から集まったCAN(※)データやドライブレコーダー映像など様々なデータを活用することで、自動車の開発のほか、交通監視や地図、保険といった様々なモビリティサービスへ活用範囲の広がりを見せると期待されている。
その中で、富士通株式会社は車両や道路などの情報をデジタル世界上に再現することを目的としたモビリティデジタルツイン実現に向けて、実世界の車両データや天気情報などの様々なデータをリアルタイムにデジタル空間上に再現・分析するストリームデータ処理基盤「Digital Twin Utilizer」を2019年10月より提供している。
そしてこのほど、モビリティデジタルツイン実現に向けた製品の第2弾として、コネクテッドカーから収集される自動車ビッグデータを活用してサービスを提供する事業者向けに、車載カメラ映像解析プラットフォーム「FUJITSU Future Mobility Accelerator Digital Twin Analyzer」(以下、Digital Twin Analyzer)を9月25日より販売開始する。
同プラットフォームは、株式会社富士通研究所が開発した映像解析を行うAI画像認識技術と、自車および周囲物の三次元位置推定技術を実装している。
AI画像認識技術は、画像から車両や白線、信号機といったオブジェクトを認識するだけでなく、乗用車やバス、トラックといった車両の種別、横断歩道やセンターラインといった白線の種別などの詳細属性まで認識する。また、例えば信号機などその時々での変化があるオブジェクトについては、オブジェクトをトラッキングすることで色などの変化を検知・記録することが可能だ。
また、三次元位置推定技術は、AI画像認識技術で認識したオブジェクトおよび自車の三次元位置を把握することができ、車載カメラの設置条件や種類によらず、市販のドライブレコーダーなどでも推定できる。さらに、他のAI画像認識エンジンやデータを新たな価値に変換するロジックを容易に取り替えることができるため、顧客のニーズに合わせたサービスを提供することができる。
同プラットフォームにより、歩行者や車両・道路・建物といった実世界空間の三次元位置・軌跡情報を推定することができるため、車両状態や交通状況のタイムリーな分析、予測が可能となる。
また、解析ロジックを変更・追加することで地物検知(※)や事故状況解析といった以下のようなユースケースに適用できるため、様々な業種サービスに活用することができる。
- 損害保険業務の効率化・高度化
- 道路管理業務の高度化
- ダイナミック情報提供サービス
事故発生時の車載カメラ映像を解析することで、事故発生時の自車進行軌跡や信号の色変化・横断歩道の有無といった事故状況を自動で解析でき、効率的な事故対応が可能な自動車保険サービスを提供する。
車載カメラ映像から、事故や障害物の落下など道路上で発生しているイベントを正確な位置情報とともに自動検知できるため、レーン別規制など細やかな交通管制サービスを実現する。
車載カメラ映像から、建物や店舗の入れ替わりといった実世界の状況を検知して、個人の嗜好に合わせた情報をタイムリーに地図上に表示する情報提供サービスを提供できる。
なお、同プラットフォームには、自車の位置や速度、周囲の車両・標識・建物の三次元位置といった車載カメラ映像から解析可能なデータを提供する基本機能サービスに加えて、顧客の要望に合わせたシステム化要件定義書の作成を支援する要件定義支援サービス、システム化要件定義書に従い利用環境を構築するセットアップサービスなどのサービスがあり、基本サービスの月額利用料は500万円~となり、その他のサービス利用料は個別見積もりとなっている。
富士通は今後、2021年2月より北米や欧州地域も含めたグローバル展開を予定している。
※1 CAN:Controller Area Network。車載ネットワークの通信方式の一種で、主にダッシュボードのメーターやボディー制御、エンジン制御などのデータ送受信に使用。
※2 地物検知:カメラ映像から特定の静止物(標識・建物など)を検出して、時系列な変化を追跡・検知すること。
プレスリリース提供:富士通
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