株式会社INDUSTRIAL-Xは「DX実現に向けた課題とコロナ禍における意向調査」を実施した。同調査は、2021年5月28日~6月1日の期間、大手、中堅、中小企業ごとに主任もしくは係長以上の役職に就く社会人を対象に、いまだ終息時期の予測がつかないコロナ禍の企業経営に資するデータを提供することを目的として、2021年6月と2020年上半期(2020年4月~9月)の状況を比較することで企業におけるDX推進状況の変化を調査した。
調査結果
DXに期待する効果
DXへの取り組みとねらいについて3つ回答してもらったところ「コスト削減」45.8%、「品質・操業改善」30.5%が昨年と同様に上位となったが、その一方で、事業を成長させることに寄与する「顧客獲得」「新規事業創出」がそれぞれ22.2%、13.8%と、昨年対比で14.4ポイント、7.7ポイントと顕著に増加した。長引くコロナ禍に適応し、事業を成長させることへの意識が高まっていることがうかがえるとINDUSTRIAL-Xは分析している。
また「テレワーク対応」「混雑回避」は大幅に減少しており、対応が完了していることが明らかとなった。
DXを推進する上での課題
DX推進における課題の上位は「進め方やアプローチがわからない」25.6%、「効果や目的がわからない」21.7%、「導入後の目指したい姿がわからない」19.7%の順に上位となっており、昨年最多となっている「目指したい姿がわからない」状況から一段推進が進み、そこに向かってどのように取り組んでいくのか、具体的なアプローチ方法について課題となっていることが明らかとなった。
また、「推進・導入する人員がいない」も18.7%と、昨年対比で2.7ポイント上昇しており、課題解決に向けたアプローチが可能な人員がいないことも顕著になり始めている。
今後必要な検討事項
「リモートでDXを推進できる仕組み」32.0%、「DX推進人材の確保・育成」26.6%、「各拠点の仕事現場の様子をオンラインで一括管理把握できる仕組み」17.2%の順で上位となった。
終息時期の予想がつかないコロナ禍において、継続してリモートやオンラインで対応可能な仕組みが求められていることに加え、DXを推進するための人材の確保と育成が重要視されていることが明らかとなった。DX推進経験のある人材は市場に少なく、前の設問結果とあわせて考察すると、社内育成せざるを得ない状況がうかがえる、とINDUSTRIAL-Xは考察している。
INDUSUTRIAL-X 八子氏による分析
八子氏によると、2020年に引き続き2年目となる同調査では、1年以上継続しているコロナ禍において、企業のDXへの取り組みとねらいが売上向上や顧客獲得などの新たな領域へより一層シフトし始めていることや、本格化するDX推進に対応できる人材の供給が追いついていないことなどが判明したということだ。
DX推進する上での課題について、「導入後の目指したい姿がわからない」と考えている企業は昨年と比較して減少している一方で、「効果や目的が明確であること」「進め方やアプローチが明確であること」「他社事例や取り組み情報」などの具体的な課題については昨年以上に重要と認識されており、特にその中でも「推進・導入する人員が充足している」ことを懸念・重要視する企業が激増していることが明らかとなったという。
これは、DX推進をしなければならない状態に置かれている企業が、デジタルでバリューチェーンを刷新したり新規事業を立ち上げたりする、いわゆる「DX人材」の確保や社内育成に大きな課題を感じ始めていることが要因と考えられる。
今後は多くの企業が、コロナ前と同じ状態にビジネス環境が戻るわけではないことを理解した上で、これまでとは異なるデジタルを活用した売上向上や新しい顧客獲得に向けて邁進し始めることが予想される。その際に、短期的にはパートナー企業や外部専門家のDXノウハウを活用しながらも、中期的には社内人材の育成についても取り組みが必要となる。
「ニューノーマルが当たり前となりつつある状況は継続し、今後もリモートワークを積極的に活用したDXへの取り組みを推進していかざるを得ないだろう」と分析している。
調査結果の全文詳細ダウンロードはこちら。
無料メルマガ会員に登録しませんか?

IoTに関する様々な情報を取材し、皆様にお届けいたします。