建設業界では、作業員の高齢化や人材不足の課題に加え、2024年4月から36協定の残業上限規制が適用される予定であることから、建設現場の労働環境の改善や生産性向上に向けたDX推進の取り組みが積極的に行われている。
キヤノン株式会社は、電波を用いてRFIDタグを非接触で読み取るRFID(Radio Frequency Identification)を用い、ヒト・モノを効率的に管理する「Canon RFID 位置情報ソリューション」を開発し、株式会社大林組の建設現場において、2022年8月上旬に実証実験を実施した。
RFIDとは、電波を用いてRFIDタグのデータを非接触で読み取る技術で、近年はアパレル業界における商品在庫管理やセルフレジなどで導入が進んでいる。バーコードによる管理では、レーザーなどを用いてタグを1枚ずつスキャンする必要があるが、RFIDでは電波を用いるため、複数のRFIDタグを一気に読み取ることができる。
キヤノンが独自開発したRFIDリーダーは、360°方向に電波を発信するアンテナを有し、移動量検知機能を搭載しているのに加え、小型・軽量を実現している。そのため、RFIDリーダーを腕に取り付けて使用することが可能で、読み取り作業をせずに通常の現場巡視を行うだけで、RFIDタグを貼り付けたヒトやモノの位置情報を収集する。
また、専用アプリをインストールしたスマホやタブレットを通して位置情報を自動アップロードすることで、クラウド上に登録した現場のマップ上に表示することができる。RFIDリーダーは、ニーズに応じて、持ち運びせずに固定設置して使用することも可能だ。
同ソリューションを活用することにより、建設現場をはじめ多数のヒトやモノの位置情報の管理が必要となる医療、物流倉庫、小売、オフィスなど多様な業種において、資材や製品の適正管理、人流把握による販売促進などへの活用が期待される。
キヤノンは今後、同ソリューションを2023年中に提供開始予定としている。
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