DIC株式会社は、世界60を超える国と地域に事業を展開しており、地域や事業・組織をグローバルに横断するサプライチェーンの可視化や全体最適化を目指している。
しかしこれまでは、世界中の顧客から集めた需要情報や各国工場の生産計画、拠点毎の製品・原材料の在庫管理、調達計画などのサプライチェーン上の様々な計画業務は、地域・事業単位で別々に行われてきた。
また、各拠点で頻繁に起こる納期調整や数量変更、在庫管理や変更手続など、社内外の関係者との煩雑な調整業務は、エクセルなどによる手集計、あるいはメールなどによる属人的な伝達手段で行われていた。
そうした中、DICは、グローバルに展開している事業のサプライチェーン全体を最適化する「デジタルSCM(サプライチェーン・マネジメント)プラットフォーム」の運用を開始した。まずは、カラーマテリアルやパフォーマンスマテリアルの一部の地域・事業から運用を開始し、2025年までにグローバル展開する予定だ。
「デジタルSCMプラットフォーム」では、「キャッシュフロー改善」「顧客サービス率向上」「業務の効率化」を切り口とした、グローバルで標準化したSCM業務パフォーマンス指標(KPI)を設定し、グローバルに統一。それを可視化・共有する仕組みを導入している。
これにより、在庫適正化、納期遵守率の向上、欠品などに伴う各種調整業務の削減効果が期待されている。
また、Kinaxis(キナクシス)の、サプライチェーン上のモノの流れを管理するSaaS型デジタルツール「RapidResponse」を、グローバルで標準化されたSCMプランニングツールとして導入し、各拠点で別々に作られている販売計画、在庫計画、生産キャパ管理などのSCMに必要な情報をひとつのデジタルプラットフォームに統合して全体の可視化が図られた。
これによりデータ収集・計算・チェックに関わる業務効率化や統計的需要予測の活用により計画精度の向上が期待されている。
さらに、不確実性が高い事業環境のもとでのサプライチェーンにおいては、自社グループ内だけでなく、原料サプライヤー、製造委託先、ディストリビュータ(物流業者)、顧客など、社外のステークホルダーとも様々なシステム連携を進めることを視野に入れているという。
![DIC、グローバル事業を全体最適する「デジタルSCMプラットフォーム」を構築](https://iotnews.jp/wp-content/uploads/c771ba64d01b76a1c41834ad681f194a.jpg)
今後は、これらサプライチェーン情報のデジタル化を、サプライヤーを含めたサプライチェーン全体でのカーボンニュートラルの実現に向けた温室効果ガス(GHG)排出量の計算・可視化などにも活用していく予定だ。
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