近年、企業では労働力不足などの社会課題を背景に生産性をより一層向上させることが求められており、多くの企業ではITを利活用した業務の効率化や省力化などを進めている。このような状況の中で映像データの領域では、ネットワークカメラを監視用途だけでなく、人が行っていた業務をカメラに代替させることで、さまざまな業種において映像DXが進んでいる。
製造業においては、ESG経営が重視されるなか工場の生産性向上と安全管理による労災防止に課題があり、一方でオフィスビルではより高度なセキュリティシステムの構築による情報管理のスマート化などの課題がある。
キヤノンマーケティングジャパン株式会社(以下、キヤノンMJ)は、カメラ事業で培った光学技術とAIを組み合わせ現場の課題を解決する「映像DXシリーズ」を展開している。
このほど、映像DXシリーズに製造業における工場向け「労災防止ソリューション」と、オフィスビル向け「スマートビルディングソリューション」を拡充し、2023年6月中旬より提供を開始する。
労災防止ソリューションでは、「侵入検知サービス」と「危険行動検知サービス」を提供する。
侵入検知サービスは、カメラ単独で設備を常時監視するだけでなく、アクシス製ネットワークカメラをAIカメラ化する独自の技術により、映像を活用することで人のみを検知可能にした。これにより、人以外にも反応し誤検知となる従来の検知センサーの課題を解決する。さらに、生産現場に設置されている表示灯やPLC(※)と連携し製造装置を制御することで、巻き込まれ事故などによる労災を防止し、従業員の安全支援につながるほか、事故発生による作業中断や遅延による関連コスト発生の抑止にも貢献する。
一方の危険行動検知サービスは、キヤノンMJと資本業務提携を行っている株式会社アジラ独自の行動認識AIを活用した姿勢推定技術により、転倒や異常行動のカメラ映像をAIが自律学習し、危険行動の検知を支援する。多数のカメラ映像から事故を瞬時に察知することや見逃しを防止することが難しいという課題を解決する。
スマートビルディングソリューションでは「入退顔認証サービス」を提供する。
同サービスは、デジタルカメラやネットワークカメラの映像解析技術と、AIを活用したキヤノン独自の顔認証技術により、従来より高度な入退管理を実現する。顔認証を活用することで、ICカードの入退管理だけでは防ぎきれないなりすましを防止し、機密性の高いエリアへの不正侵入を抑止する。
また、荷物を持っていても手ぶらで利便性の高いハンズフリーでの入退室を実現するとともに、非接触の認証方式であることから、食品製造現場やクリーンルームへの異物混入を防止する。
※ PLC(Programmable Logic Controller):生産機器や設備などの入力/出力間を制御する装置(コントローラ)。
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