沖縄県におけるモズク生産量は全国の9割以上を占めており、中でもうるま市勝連地域は沖縄県内で約4割の水揚げを誇っている。うるま市のモズク生産の基盤となる勝連漁協は、2024年2月26日に新たにモズク加工工場を開設し、従来流通の問題で生産量が限られていた生モズクの出荷量を増やすことやブランド化の推進による販路拡大を目指しており、今後も生産量は伸びる見込みだという。
一方、勝連漁協では、少子高齢化による人手不足・後継者不足などの課題を抱えている。
TOPPANデジタル株式会社と沖縄県うるま市にある勝連漁業協同組合(以下、勝連漁協)は、モズク生産の効率化を目的とした漁業DXソリューションの実証実験を2024年3月1日~2024年6月末まで実施する。
同実証では、勝連漁協組合におけるモズクの生産工程において、TOPPANデジタルが開発した「重量管理アプリ」「品質判定AIアプリ」からなる漁業DXソリューションを用いて、これまで手作業で行っていたモズク収穫量の管理・品質判定などをデジタル化し、各ソリューションの有効性を検証する。
従来、モズク水揚げの際に発行する伝票は、重量・カゴ数・ロットを手書きで記入・計算する運用だった。重量管理アプリでは、水揚げ時に漁師毎のモズク重量をタブレットへ入力すると、カゴ重量が差し引かれ正味の重量が自動計算されるため、手計算によるミス防止やペーパーレス化による作業効率化を支援する。また、アプリに入力された重量はロット毎に保存されるため、水揚げ後の加工工程以降のトレーサビリティ管理にも役立つ。
モズクの品質判定は、従来、太さやぬめりの状態を熟練担当者の勘や経験に基づき目視で行ってきた。品質判定AIアプリでは、品質判定のポイントとなる「太さ」「ぬめり」の状態をタブレットなどで撮影した画像を基に認識し、TOPPANデジタルが独自に開発したロジックでAI判定が可能となる。これにより、人手に頼らず高品質のモズクの選別を可能とし、人手不足・後継者不足の課題を支援する。
TOPPANデジタルは今後、同実証実験でアプリの有効性の検証や運用上の課題整理による改善などを経て、モズクのみならず他の海産物を含め漁業全般に対応できるサービスとして2024年秋に第一弾のアプリ提供開始を目指す。また、今回の実証協力先である勝連漁協が、新たに開設したモズク加工工場において漁業DXソリューションで取得したデータを活用し、加工工場のスマート化も支援していくとのこと。
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