パナソニック コネクト株式会社は、進化計算のカンファレンス「GECCO 2024」の多目的化コンペティション「The Travelling Thief Problem(TTP)」にて、全ての都市を訪れて荷物を収集するタスクに取り組み、データ規模に応じて適切にアルゴリズムを選択する同社独自開発の多目的最適化技術により、処理制限時間10分間でタスクに回答し、世界で2位の評価を獲得したと発表した。
なお、この技術には、同コンペティション2023年2位公開手法をベースとし、2023年にオーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)他により報告された走行時間・荷物価値の協調探索手法CoCo(Cooperation Coordination)アルゴリズムを用いているとのことだ。
今回のタスクでは、データ規模に応じて適切なアルゴリズムの導入を実施。都市数や荷物数が非公開の9つの問題が用意されており、各問題に対する最終的なスコアは、荷物価値から走行時間に応じたナップサックのレンタル料を差し引いて算出された。荷物には重さと価値の数値が与えられており、先に軽くて価値の高い荷物をナップサックに詰める(以下、パッキングする)ことで、より早く都市を訪問できるという仮説が立てられる。
このような複雑な条件を満たして、より良いスコアが得られるよう、データ規模に応じて適切にアルゴリズムを自動選択する多目的最適化技術を開発した。
具体的には、2023年2位公開手法(以下、既存手法)をベースに、データ規模(都市数)に応じたアルゴリズムの見直しを行った。都市数100~120の問題の場合には既存手法よりも時間はかかるが、網羅的に経路と荷物パッキング案を探索できる局所探索手法の導入、都市数121~1050の場合には既存手法を活用、都市数が中規模・大規模の場合には走行時間と荷物価値の協調探索手法であるCoCoを導入した。
都市数に応じて最適なアルゴリズムを自動選択する新たな技術を用いることで、都市数33,810×荷物数10個という大規模な問題に対しても、処理制限時間10分という短い時間の中で高精度な回答を得ることが可能となった。
これにより、サプライチェーンの領域である、製造、物流、流通の現場で、複数の制約条件下でも短い時間で最適な回答を算出し、現場ごとに異なる制約条件への対応スピードの加速が図れるようになるとのことだ。
今後は、製造現場における計画最適化や、製造や物流現場における無人搬送車の計画最適化など、多様な制約条件を持つ現場への適用に向けて、多目的最適化技術をベースに技術レベルを上げていくとしている。
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