株式会社エンルートとエバ・ジャパン株式会社は、マルチスペクトルカメラを搭載するドローン(マルチコプター)を共同開発すると発表した。
スペクトルイメージングとは、光を波長毎に分解(分光)して、各波長の光成分(スペクトル)を画像化する技術だ。
人間は物体の色を3色(RGB)に感度のある視細胞で可視光(380nm~780nm)を見ており、通常のカメラは、人の視細胞のもつ光に対する感度に合わせて、赤、緑、青(RGB)の3色(3波長)の光を捉え、カラー画像を合成する。
これに対して、エバ・ジャパンの扱うスペクトルイメージングでは、より多くの波長に分光した光を捉えることで、通常のカメラや人の目では捉えられない情報を観察することができる。分光とは文字通り光を分けることだが、簡単に言えば、例えば、人間が380nm~780nmを3色に分類しているところを、10色、20色・・・100色といった具合に、細かな光の要素に分解し、それをデータに変換することだ。
物質は、その特性や状態に伴って、固有の、光に対する波長毎の反射率や透過率をもつため、細かく分光して物質を観察することで、通常のカメラでは観察できない対象の性質や状態、例えば、農作物の成熟度や、建造物の劣化状態などを捉えることができるのだ。
この技術を使用したセンサーをエンルートが提供する小型無人航空機(ドローン)に載せることで、農業分野においては、例えば、広い圃場の成育状態や病害虫被害の状況等の広範囲の環境状態の把握や、従来感覚的評価(熟練者の目)に頼っていた判断を客観的評価(マルチスペクトルカメラ)に置き換えることにより、誰であっても熟練者と同等の判断が可能になるシステムが構築可能となる。
また、建設土木分野においては、インフラの長寿命化における点検施工技術の革新は喫緊の課題だが、高層建造物の劣化状況や危険物施設の管理など、建設施工業者が近づくことが難しい場所での現況調査など、従来に比べ広範囲のデータを短時間で取得することが可能になるため、従来の検査手法と組み合わせることで、時間と人手の削減に役立てることが可能となる。
ロボット新戦略における推進分野としても、ICTを活用した情報化施工についての技術革新は求められているため、この分野における産業振興としても期待が持てる。
今回の協業により、精度はあるが時間と人手がかかっていた従来型工法へ”新たな選択肢”として加えたマルチスペクトルイメージング技術との融合により、飛躍的に時間を短縮し、多数の環境下における有益な情報を得ることが可能になる。
無料メルマガ会員に登録しませんか?

IoTに関する様々な情報を取材し、皆様にお届けいたします。