ブルーイノベーション株式会社は、同社が提供する屋内点検・測量ドローン「ELIOS 3」に着脱可能な専用ペイロードシリーズの新製品として、ドローンによる超音波厚さ測定を可能にする「UT検査ペイロード」をリリースし、運用サービスを2024年5月7日より、販売サービスを7月より開始する予定であることを発表した。
「UT検査ペイロード」は、「ELIOS 3」の開発メーカであるFlyabilityが、超音波厚さ計のメーカであるCygnus Instrumentsと連携して開発した、「ELIOS 3」に最適化されたUT検査用デバイスだ。
超音波を発信するプローブ(探触子、接触する部分)は点検対象に応じて、2MHz、5MHz、7.5MHzから選択でき、プローブを覆うフードには強力な磁石が搭載されている。

また、プローブヘッドと「ELIOS 3」のガード部分を接続する。プローブアームは、ドローンの上部や前面、または下部に取り付け可能で、点検対象の位置に合わせて変更可能なほか、狭いマンホールの通過時や、複雑な空間内で飛行の妨げにならないよう、機体本体側に折りたためるように設計されている。

加えて、点検対象物表面の付着物などにより測定が困難な場合、プローブヘッドを清掃用モジュールに交換し、対象を清掃することができる。清掃後、その位置を位置特定機能でマークできるため、一度機体を戻してからプローブヘッドを交換、再測定時にも同じ位置で測定を行うことが可能だ。

プローブと点検対象の間には、プローブから発信される超音波を点検対象に伝達するのにゲル状のカプラント(接触媒質)が介在している必要がある。このカプラントディスペンサは、必要量のカプラントをプローブヘッドに供給する仕様となっている。
なお、カプラントの残量はリアルタイムに把握することができ、カプラントが不足した場合は、ディスペンサーのシリンジを補充または交換できる。

さらに「UT検査ペイロード」は、プローブヘッドからレーザポインタが照射されており、パイロットは照準を定めて対象を測定することが可能だ。測定結果は、リアルタイムで表示されるほか、「ELIOS 3」の飛行位置情報と共に記録され、飛行後の解析時に位置特定が可能だ。

飛行中に記録した位置は、専用の解析ソフトウェア「Inpsector」により3Dモデル上に表示される。A-Scan結果の同時表示も可能なため、結果を確認して再測定の必要性などを確認できる。

「UT検査ペイロード」を搭載した「ELIOS 3」を用いることで、プラント施設やインフラ施設(道路橋、トンネル、下水道など)、自動車や航空機の工場、船舶ドックなど、従来は足場や特殊な機材等を要した点検対象箇所において、ドローンを用いた超音波厚さ測定が可能になる。
さらに、2024年1月に販売を開始した、高精度な点群データを取得可能な「測量ペイロード」と「UT検査ペイロード」を併用することで、従来はそれぞれのチームで行っていた外観目視検査や測量、厚さ測定といった複数の点検作業が、パイロットチーム2名と「ELIOS 3」のみで実施可能となった。
参考事例として、足場が必要となる大型船舶のバラストタンクの厚さ測定が挙げられており、「UT検査ペイロード」を導入することで足場設置などが不要となり、15,000時間の作業を削減したのだという。
また、測量ペイロードと組み合わせることで、従来16名以上で行っていた点検作業を2名で行うことができるようになったとしている。
なおブルーイノベーションは、4月10日から東京ビッグサイトにて開催される「Sea Japan」の同社ブースにおいて、「UT検査ペイロード」と「ELIOS 3」の実機展示ならびにデモンストレーションを実施する。
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