五洋建設とACSL、3D-LiDARドローンによる船舶土量検収システムを開発

五洋建設株式会社の防波堤や岸壁の築造工事では、石材や砂材の積載量を検収するために、土砂運搬船ごとに作業員と一緒に元請職員が検収を行っていた。

しかし、この検収作業には約20分を要し、さらに帳票作成には事務所で作業が必要だった。また、土砂運搬船が沖合にいる場合、元請職員は交通船で往復移動する必要があり、検収に1時間以上を要するケースもあったのだという。

そこで五洋建設と株式会社ACSLは、3D-LiDARとLTE通信機能を搭載したドローン「Penta-Ocean Vanguard-DroneLiDAR」(以下、POV-DL)を用いた、リアルタイム船舶土量検収システムを開発した。

五洋建設とACSL、3D-LiDARドローンによる船舶土量検収システムを開発
「POV-DL」の全景

新たに開発されたシステムでは、陸上の職員が「POV-DL」を土砂運搬船の上空まで飛行させ、積載状況を光学カメラで撮影し、船倉内の積載形状を3D-LiDARで5秒間計測することで、積載土量が直ちに算出・表示され、帳票も自動で作成できるようになった。

同システムでは、3D-LiDARによる点群データから積載土量をクラウド上で算出し、帳票を作成するアルゴリズムが構築されている。

さらに、波の影響で揺れる土砂運搬船でも安定して計測できるように、SLAM技術を組み合わせたシステムを実装した。また、2020年12月に制度整備されたLTE通信機能を利用し、「POV-DL」が帰還する前に、計測データをクラウドに伝送・保存できる機能を拡張した。

これにより、「POV-DL」による計測データの取得から、クラウドへの伝送・保存、積載土量の算出・帳票作成までの一連の検収作業をシステム化している。

五洋建設とACSL、3D-LiDARドローンによる船舶土量検収システムを開発
左:従来の検収方法 右:「POV-DL」による検収方法

なお、横浜港本牧地区防波堤築造工事での実証試験では、土砂運搬船の土量検収時間が20分から5分に、人員は6名から1名に削減でき、生産性の向上に寄与することが確認されている。

五洋建設とACSL、3D-LiDARドローンによる船舶土量検収システムを開発
従来と「POV-DL」での検収方法ならびに時間の比較

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