飛島建設株式会社は、KDDIスマートドローン株式会社と共同で、非GNSS環境下かつモバイル通信不感地域でも適用可能な、全自動型ドローンと衛星ブロードバンドインターネットを活用したインフラ遠隔自動点検システムを開発した。
今回開発されたインフラ遠隔自動点検システムは、「ドローン部」「ネットワークインフラ部」「エッジ部」「クラウド部」により構成されている。

「ドローン部」は、Skydioが提供するドローン機体「X2」およびドローン基地局「Skydio Dock for X2」を採用している。これにより、非GNSS環境下においても屋内外でドローンの遠隔自動運用が可能となる。
「ネットワークインフラ部」は、SpaceXが開発し、KDDIが提供する法人向け衛星ブロードバンドインターネット「STARLINK BUSINESS」および、IP65メッシュWiFiアクセスポイントを採用した。これにより、モバイル通信不感地域であっても、高速・低遅延・シームレスなインターネット通信環境を広域で構築可能だ。
「エッジ部」では、ドローンの遠隔管制を目的として、「リモート管制システム」を開発した。同システムにより、「Skydio Dock for X2」周辺の気象データ・映像データの取得と、警告灯による離着陸時や第三者接近時の警告発報が可能となった。
「クラウド部」では、ドローンセンシングのプロセス一元化を目的として、クラウドシステムを開発した。同クラウドシステムにより、「リモート管制システム取得データのダッシュボード表示」「空撮データの専用クラウドサーバへの自動アップロード」「機械学習を用いたリアルタイム物体検出通知」「変状検出」「各機能のプラットフォーム統合」が可能となった。
なお、クラウドシステム開発においては、Skydio APIおよびMicrosoftが提供する「Teams、Azure」「SharePoint」「Power Automate」「Power Apps」「Power BI」を活用している。
また、このシステムの有効性を検証するため、飛島建設とオリエンタルコンサルタンツが共同で発電事業を行っている米沢大平小水力発電所で実証実験が実施された。
運転中の小水力発電所は、モバイル通信不感地域に所在しており、施設の遠隔・自動点検におけるシステム検証を実施した結果、その有効性が確認された。

実証実験により、同システムは山間部における建設工事や地下構造物の建設工事のように、非GNSS環境下かつモバイル通信不感地域でも適用可能であることが確認された。また、建設現場における技能者や資機材のカウントや位置管理、進捗管理や出来高算出といった業務への適用も可能だ。
今後は、人手不足や生産性向上といった建設工事の課題を解決するための手段として、屋内外を問わず工事現場にて活用していく予定だ。また、AI検出精度向上や検出対象の拡大、他のドローンやロボットとの連携などを目指していくとしている。
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