複数の技術を1つにまとめるデジタルの力
小泉: 最後に、P&Gの「Opte」という製品についてお話したいと思います。「Opte」は顔のシミやほくろを消すデジタルコンシーラーです。CES2019では大きな注目を集めていました。こうした製品からはどういう傾向が読み取れるでしょうか?
八子: 技術と技術の組み合わせがポイントだと思います。
この製品では、「顔の表面をスキャニングする」、「結果(シミやほくろの状態)を判定する」、「判定の結果、プリンティングする」という、これまでは別々にあった3つの機能がほぼ同時に行われています。これはすごいことだと思います。
スキャンとプリントの機能を小さな筐体におさめ、しかもインテリジェントに判断した結果を使って、プリンティングまでしてしまうわけですから。
デジタルによって複数の技術を融合し、ポータブルで手の届く値段の範疇で、簡単に実現できてしまうというのは、デジタルの強みであり組み合わせの妙ですね。
小泉: 「Opte」は10年の研究の成果だそうです。あれだけ小さな筐体ですから、中のコンピュータも相当コンパクトなサイズになっているのでしょう。昔だと考えられないサイズです。スマートフォンの普及でデバイスの部品の価格が下がったことも、実現を後押しした要因かもしれません。
八子: 昔の携帯電話と同じことですよね。小型化していくことで、普及モデルに近づいていきます。
![CES2019から読み解く、消費者向けプロダクト開発の傾向 ―八子知礼×小泉耕二【第15回】](https://iotnews.jp/wp-content/uploads/2019/02/61.jpg)
小泉: 今までもアイディアはあったものの実現できていなかったことが、今あらためて要素技術をしっかり調べてみることで、実はできるのではないかということが増えているように思います。
八子: そうですね。デジタルはあらゆるモノ・コトの境目をなくしていくとこれまでに言ってきましたが、それがプロダクトとして表れてきたのは面白いことです。CES2019の一つの特徴だったのではないかと思います。
小泉: 本日はありがとうございました。
無料メルマガ会員に登録しませんか?
![尾崎太一](https://iotnews.jp/wp-content/uploads/2020/02/10d5c82d8550164d10305089ebadd0ba.jpg)
技術・科学系ライター。修士(応用化学)。石油メーカー勤務を経て、2017年よりライターとして活動。科学雑誌などにも寄稿している。