MaaSのカギを握る、「マイクロモビリティ」の現状と課題 ―八子知礼×小泉耕二【第18回】

「自転車専用レーン」が着実に増えている

小泉: 自転車はどうでしたか? シェアバイクも以前からあちこちで話題になっていますが。

八子: パリでは「モバイク(Mobike)」(世界最大の自転車シェアリングサービス)を少し見かけました。オランダにも行ったのですが、ハーグでは一部ありましたね。ロッテルダムではほんの少し。アムステルダムでは1台も見ませんでした。

オランダでシェアバイクが流行らない理由は、オランダでは個人で自転車を持っている人が多く、“マイ自転車”へのこだわりが強いので、シェアサイクルに対するニーズがないものと思われますね。

小泉: 概して、自転車からeスクーターへシェアリングのトレンドが移行している、というわけではないのでしょうか。

八子: そうではないと思います。シェアバイクが普及しているところもありますし、アムステルダムの場合にはeスクーターも見ませんでした。もしかすると、どこかのベンダーが提供しているのかもしれませんが、さきほど申し上げた、5つの企業のeスクーターはありませんでした。それくらい、オランダは“マイ自転車”によるモビリティが確立されているのでしょう。

小泉: eスクーターについて、日本ではヘルメットの着用が義務付けられますし、道路交通法の問題もあって、簡単には進みづらいという議論があります。

最近では、自転車専用レーンも増えてきましたが、隣を走っているクルマのドライバーからすると、逆に怖い思いをするときがあります。そこからさらにeスクーターも走り始めると、どうなんだろうという不安な気持ちもあります。その点は、ヨーロッパではどうですか?

MaaSのカギを握る、「マイクロモビリティ」の現状と課題 ―八子知礼×小泉耕二【第18回】
パリ市街の中心部で見られる自転車専用レーン(写真提供:八子知礼)

八子: パリでも、同じように道路の隣に自転車が走るレーンが設けられています(上の写真)。それは、「シャンゼリゼ通り」(パリ市内の北西部にある大通り)など、主に街の中心で見られます。

一方で、セーヌ川の南側など街の中心部から離れたところの、道幅が三車線ほどあるような太い道路では、そのうち一車線を自転車専用の道路としてアサインしなおしています。

もともとパリもオランダと同じように、自転車への造詣が深い街です。「ツール・ド・フランス」(毎年7月にフランスおよび周辺国を舞台にして行われる自転車ロードレース
)もありますしね。でも、道路の専用レーンについてはそこまでは徹底していなかった。

それが最近では、パリ市長が力を入れて、クルマを街の中から締め出そうという狙いもあり、道路のアサインを変える工事を随所で行っているのです。

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