IoT時代の一歩先を見据えた、オプテージの次なる成長の軸
矢野: ビジネスモデルは、次の2パターンを考えています。1つは、デバイスベンダーさま向けの提供モデルです(下の図)。デバイスのセキュリティ機能を検討しているベンダーさまに、弊社からフラッシュメモリーの保護技術(①)ならびにプラットフォームサービス(②、③、④)を提供します。
もう一つのビジネスモデルは、デバイスを独自に開発されていないIoTサービス事業者さま向けです。そうしたお客さまには、まずデバイスベンダーさま経由でフラッシュメモリーの保護技術(①)を提供するとともに、弊社から直接プラットフォーム(②、③、④)を提供します。


小泉: 料金体系についてはどうでしょうか。
矢野: まだ検討中ではありますが、たとえばフラッシュメモリーの保護技術の組み込み(あるいは専用メモリーの内蔵)については、1デバイスあたりの料金を設定します。また、プラットフォームの利用料については、デバイスの数に応じたサブスクリプションを考えています。ただ、企業さまによってはデバイスの管理画面をすでにお持ちという場合もあると思いますから、その場合はAPI連携をおこない、弊社からはデータだけを提供するということも可能としています。
小泉: IoTといっても幅広いです。どういう分野のエンドユーザーを想定していますか。
矢野: IoTデバイスの用途はさまざまです。弊社のセキュリティサービスに関しては、安価なセンサーなどではなく、高度なセキュリティが求められる機器を対象に提供する予定です。たとえば、機微な情報をあつかう通信機器やカメラ、金銭に関わるATM、決済端末、自動販売機、そして安心安全が求められるスマートホームや医療機器、公共交通の分野などです。
こうした分野ではIoTデバイスの高機能化が進み、ファームウェアのバージョンアップも頻繁になっている傾向にあります。そのため、OSより下位のレイヤーでIoTデバイスを保護するというアプローチが重要になります。

小泉: 最近では、「エッジコンピューティング」という言葉が注目されているように、モノが通信でつながるだけでなく、モノ自体の自律化(高機能化)も求められています。そうなると、デバイス本体のセキュリティは今後ますます重要になってきそうですね。
矢野: デバイスを保護するのが大変である一方で、攻撃をしようとする側もそう簡単ではありません。特にIoTデバイスはITと違ってOSの種類もたくさんあるために、攻撃する側も大変でしょう。
ただ、それも今だけかもしれません。3年後にはIoTデバイスの標準化が進むことで、今よりもサイバー攻撃の数は増える可能性があります。
小泉: 通信インフラ事業を主に手がけるオプテージが、IoTデバイスのセキュリティサービスを提供するというのは、少し驚きもあります。
矢野: おっしゃるとおり、弊社のIoT事業の中核にあるのは、通信インフラや格安SIMのサービスである「mineo(マイネオ)」など、どちらかいうと「通信」の領域です。ただ、弊社としては、ワンストップでお客さまのIoT導入をサポートできる企業を目指し、多面的にソリューションの拡大を進めています。
その中で、セキュリティというのは欠かせない領域であり、またそれを担保することには大きな社会的意義があります。私たちはこの事業をオプテージの次の成長の軸として育てていきたいと考えています。
小泉: 本日は貴重なお話をありがとうございました。
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技術・科学系ライター。修士(応用化学)。石油メーカー勤務を経て、2017年よりライターとして活動。科学雑誌などにも寄稿している。