ソラコムが開催した技術者のためのIoTカンファレンス、if-up2017レポートの2回目は、テクロジーで潮目が変わる時に起きる変化と、それにどう対処していくべきかについてパネルディスカッションが行われた。
【登壇者】
アーム株式会社 代表取締役社長 内海弦氏
LINE株式会社 広告・ビジネスプラットフォーム室 戦略企画担当ディレクター 砂金信一郎氏
株式会社ソラコム 代表取締役社長 玉川憲氏
途中、飛び入り参加で、Rubyの生みの親である、まつもとゆきひろ氏も参戦した。
テクノロジーで潮目が変わる時
テクノロジーが変わる時、プレーヤーが大きく入れ替わっている。IoT、音声UI/VR/AR、クラウドAiといった新しい技術が出てきた時にどう変わっていくのかについて話された。
内海:高性能かつ低消費電力プロセッサを作る(知財を売る)会社がARMだ。セキュリティ、省電力、エコシステムというIoTに要求される3つの要素をおさえたマイクロプロセッサを作る会社だ。
砂金:日常的なコミュニケーションにチャットボットがはいることで、自然なやりとりでサービスの窓口としてLINEを活用しようとしている。ビーコンに対する反応や、IoTデバイスのUXとしてLINEを活用していこうと考えている。
例えば、leafeeは、ホームセキュリティをLINEのチャットボットで制御できる。戸締りの状態をLINEで聞くと、デバイスが反応するということができているのだ。
IoTって儲かるの?
内海:ぼーっとしていると儲からない。デバイスはたくさん出荷されるが(数が増えると低価格化がすすむから)儲からない。そこをどう工夫するかが重要だ。
砂金:LINEは大半のユーザは無料で使っている。行動データからプロファイルデータとして広告商品として販売している。それがIoTも取り込むことで、より広い範囲の情報が取得できるようになるので、媒体としての価値が発生すると考えている。
松本:エンジニアにとってみれば、新しい領域の仕事は増えると考えられる。
玉川:IoTランドスケープというIoT業界マップを見ると、かなりの数の企業がでてきている。そんな中、注目しているテクノロジーはどういうものがあるか?
砂金:コグニティブ・AIシステムとデータアグリゲーションに注目している。自然言語対応や解析はすでに対応しているが、音声認識の分野でClovaというコンセプト、Waveというスマートスピーカーを出すと発表している。
英語圏で勝つことがグローバルで勝つことではなく、ローカルな文化も吸収したコミュニケーションを考えると、日本語や韓国語、中国語といったところではLINEは活躍したいと考えている。
危機感としては、スマートフォンがなくなったらLINEもなくなってしまう。スマートフォンがなくなったとしてもトップラインでい続けるために、Clovaというスマートフォンの画面から飛び出すということだ。
内海:IoTは究極のエッジコンピューティングで、分散コンピューティングだ。もちろんその後は振り子のように分散から集中に戻る。分散することでいいことはあるが、処理速度があがると電気をたくさん使う。
松本:現時点のIoTでは集中する話題のほうが多く、エッジはセンサーだけというのが多い。エッジのソフトウエアがどんどん複雑になる時を見据えて、2010年よりエッジコンピュータ用のOSとなるm-Rubyを開発しているということだ。
エンジニアへのメッセージ
砂金:IoTやコミュニケーションでは、日本はもっと頑張れるのではないかと思っている。自分たちが作って商品化する、そういう会社がもっと出てきてほしい。自分たちが発想したものをつくってグローバルに出て行くことも、少人数でできるようになってきている。そういう企業が増えてきてほしいと思う。
台湾のマイクロソフトやIoTの担当と話すと、デバイス企業が多い台湾でのマイクロソフトのIoTモジュールの利用が多いという。日本ももっと頑張れるはずだ。エンジニアがワクワクしたものづくりができるといいなと思う。
内海:日本は技術立国だ。センサー、LCD、などさまざまあるが、製造部分は日本でとれていない。エンジニアは、好きなことをやっていってほしい。
松本:エンジニアは未来を作ることもできる。なんらかの形で未来をつくるチャンレンジをやってほしいと思う。
玉川:日本発のグローバル企業を目指してソラコムも、みんなで作っていきたいと考えている。
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IoTNEWS代表
1973年生まれ。株式会社アールジーン代表取締役。
フジテレビ Live News α コメンテーター。J-WAVE TOKYO MORNING RADIO 記事解説。など。
大阪大学でニューロコンピューティングを学び、アクセンチュアなどのグローバルコンサルティングファームより現職。
著書に、「2時間でわかる図解IoTビジネス入門(あさ出版)」「顧客ともっとつながる(日経BP)」、YouTubeチャンネルに「小泉耕二の未来大学」がある。