7月5日開催されたSORACOM Conference 2017 “Discovery” は、株式会社ソラコムが提供する IoTプラットフォーム SORACOMに関する最新の技術情報や活用事例をお届けする1Dayカンファレンスだ。
ここでは、「IoTを活用した新規事業にどう取り組むか」というテーマで登壇した、コニカミノルタの市村氏、オプテックスの上村氏の発表内容をレポートしていく。
コニカミノルタのIoTを活用した新規事業での取り組み
市村氏は冒頭で、カラーフィルムはデジタルカメラの出現で市場の成長が止まり、デジタルカメラはスマートフォンで市場の成長が止まったという過去の事例を出した。
この例からも分かるよう、技術の革新は本業でない周辺で起きて、マーケットが急に大きく変わるという。
コニカミノルタは、フィルム事業ないしコンシューマカメラ事業をやってきた創業100年を超える歴史をもつ会社だが、このままでは生き残れないと判断し、2600個もの事業から積極的に撤退し、自社を変えていったという。
コアの技術では間に合わない部分に関しては、30社以上も買収をして、統合したという。
さらにコニカミノルタは、今後を見据え、イノベーションを起こし新しい価値をお客様に提供する組織「Business Innovation Center(BIC)」を世界5拠点に設立した。
BICは、今まで誰もが実現し得なかった空想的なアイディアをサービスへと進化させ、人々の生活やビジネスに役立つ新しい事業を創造するための専門チームだという。自社のシーズからでなくニーズを起点に考え、モノからコトづくりを行うというのが特徴だ。
以下、コニカミノルタのSORACOMを積極的に活用したBICの事例を紹介する。
医療機関をサポートするMELON
MELONはタブレットを使って、外国人患者の来院から支払までの医療機関側の業務を簡単サポートするサービスだ。
受付でタブレットを外国人患者に渡し、患者は、氏名や連絡先といった個人情報を入力する。さらに問診票に症状を入力し決済手段の確認を行う。患者が情報を入力した後、診察開始まで待機指示や呼び出しも行う。
これらを多言語で行うことができ、現在、英語はもちろん、中国語、韓国語、ポルトガル語、スペイン語、タイ語、ベトナム語、ロシア語にも対応している。
メリットは、外国人患者が来院したときにスムーズに受付対応ができることだ。これまでのように外国人患者の入力中、医療スタッフがかかりきりになる必要がなく、通訳などを都度介して記入するより短時間での記入が可能だという。
また、支払手段や診断書の作成など、後でトラブルになりやすい事項について事前に確認を行うことにより、トラブルを防止にも役立つそうだ。
体臭測定デバイス Kunkun body
体臭測定デバイス「Kunkun body」は臭いの見える化をするデバイスだ。
嗅覚には「疲労性(順応)」があり、同じニオイをしばらく嗅いでいると、そのニオイを感じなくなってしまう独特の性質がある。そのため、「自分の体臭(ニオイ)は自分が一番分からない」ものだという。
KunKun bodyは、体臭(ニオイ)の種類と強さを数値で見える化することで、ニオイ対策が十分かどうか客観的な判断ができて、安心を提供するという。
オプテックスのIoTを活用した新規事業での取り組み
オプテックスは、世界で初めて赤外線を使った自動ドアセンサーを1980年に出して以来、防犯センサ、人数カウントといったセンサ類を作り続けているという。
上村氏によると、センサはIoTにとって重要なものということで、4年ほど前から、自社の技術を利用したIoTサービスについて取り組んできたという。
そして今年、IoTソリューションにとって重要なセンサを起点として、通信・データベースまでをパッケージ化し、手軽に低コストでIoTビジネスが実現できるスマートセンサ&データ提供ソリューション「オプテックス センサ コネクト」の提供を開始した。
オプテックスのセンサから得られるデータとICTを活用し、サービス産業を始めとする様々な業界に対し、業務の効率化や生産性向上、新しいビジネスモデル構築を実現するという。
既に色々なシーンで、業務効率化や生産性向上、資産の利活用などに「オプテックス センサ コネクト」の導入が進んでいる。
スマートパーキング
駐車場に設置した車両検知センサで、車両の駐車状況(満空)が遠隔地で管理・確認できる仕組みをコインパーキング事業者向けに提供しているという。駐車場の地中にループコイルセンサを埋設工事せずに最小限の投資で車両の駐車管理が実現できるのが利点だという。
配送スタッフの安全運転管理
急発進やスムーズな運転などをセンシングすることで、運転手ごとの運転レベルを比較することを可能にする。運転手を斡旋する事業者が、運転手のKPIの一つとして、安全運転を評価し、業務斡旋先の優先順位づけや、配送サービスの品質を向上につなげられるという。
宅配ボックス空き管理
無電源宅配ボックスの稼働状況をセンシングし、荷物の到着や受取などを遠隔で管理するものだ。宅配サービスにおける課題である、再配達に伴う業務負荷とコスト増を軽減し、サービス利用者の新しい受け取り方の仕組みづくりを実現するという。
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