NECの、IoT時代を見越したエッジコンピューティングを核としたプラットフォーム戦略

NECのIoTソリューションを支える、ICTプラットフォーム製品戦略の発表があった。

世界はIoT時代に突入するとし、JEITAの予測では、今後繋がるデバイス数は2020年までに1兆個になり、IoTの世界需要の見通しは380兆円になるという。

NECは、「エッジコンピューティング(※下段に説明あり)を中核に、分析・統合運用管理などIoT関連製品の開発にシフト」する。現在は約300名の製品開発技術者がいるが、IoTシステムのプラットフォーム製品開発技術者を育成し1000名規模にする。NECには技術者が約1万人おり、そのうちの10%を異動させるという。日本電気株式会社 執行役員常務 庄司信一氏は、「ICTプラットフォーム事業を、飛躍的に進化させたい」と意気込んだ。

NEC、IoT時代のプラットフォーム戦略
日本電気株式会社 執行役員常務 庄司信一氏

NECが言う「エッジコンピューティング」という言葉は、クラウドコンピューティングに対して、エッジコンピューティングという言い方をしている。さらに、他社ではエッジとデバイスが一致しているという説明もあるが、NECが考えるエッジは論理なので、エッジコンピューティングとデバイスコンピューティングと分けて呼んでいると説明した。

すでにNECは大量のデータの分析を行い、シンガポールでの街づくりの実証実験や、日本海溝海底 地震津波観測網の工事など、実績を積んできた。今年6月には、IoTを活用した次世代ものづくりソリューション「NEC Industrial IoT」の提供を開始、7月にはIoT事業を強化した。

NECが考えるIoTの5層モデル

NEC、IoT時代のプラットフォーム戦略
NECが考えるIoTの5層モデル

NECが考えるIoTの5層モデルは、1に無数のデバイスから収集された大量なデータをリアルタイムで処理する高速・高精度な分析処理、2に負荷の変動に応じてアプリケーションソフトなどを最適な場所で実行させることで、効率的なサービスを提供可能にする分散協調型処理、3に多数のデバイスから収集されたデータを安全かつ効率的に処理するためのデバイス仮想化、4はセキュリティ、最後にデバイスやネットワークを含めた統合運用管理。これらを強化していくという。

NEC、IoT時代のプラットフォーム戦略
日本電気株式会社 執行役員 福田 公彦氏

続いて、日本電気株式会社 執行役員 福田 公彦氏から詳細の説明があった。

NECのICTプラットフォームの過去からの変遷を、メインフレームの時代、Webを中心としたクライアントサーバーの時代、集中型のクラウドを中心としたプラットフォームの時代と大きな流れを経て、今後の大量のデバイス、モノがネットワークを介する時代をIoT時代とした。このIoT時代では、モノが大量に繋がり、モノからあがってくるデータを活用して、コトを理解する。何が起きているのかを理解して新しい価値を生み出すということが期待される。

大量のモノが繋がり、システムが複雑化し、大規模化するという中で、これらのシステムを円滑に動かすためには、NECはエッジコンピューティングという概念が必要だとした。

エッジコンピューティングの必要性

NEC、IoT時代のプラットフォーム戦略
エッジコンピューティングの必要性

大量なデバイスから大量なデータが収集される時代の中で、何が必要なデータで、何が不要なデータかということを識別し、処理の前段で、一次処理をかける必要がある。これまでのようにデバイスから直接クラウドへデータがあがると、システム側に大きな負荷がかかり、様々な問題が起きる。

エッジコンピューティングは論理的な考え方なので、例えば実装がクラウド側にある場合、または、デバイスの中に内蔵される場合、物理的にエッジコンピューティングの概念である機能を実現する可能性もあるとした。

例として、数千台の監視カメラの画像や動画データそのものをセンターにあげるのは現実的ではないが、センターの負荷を減らすために、エッジコンピューティングとして一次処理をして、顔認識であれば特徴点だけをエッジだけで抽出するということが考えられる。そうすることで、データがかなり圧縮されるので、センター側が必要としている情報だけを渡せばよくなるため、飛躍的にシステムの構成が楽になり、現実的になるというのだ。

分散協調型処理の必要性

NEC、IoT時代のプラットフォーム戦略
分散協調型処理の必要性

今後システムの大規模化、繋がって複雑化していく中で、サービスをいかにリアルタイムに提供していくか。動的に変化する負荷に対して、最適に実行するためにはアプリケーションそのものが、必要な場所で実行されることがポイントとなる。

これは、すでに取り組みが始まっていて、世界のデーターセンター間でアプリケーションが移動する、オンプレミスとクラウドの間で同じアプリケーションが移動して実行されるのは、技術的に可能となっており実現されつつあると話した。

デバイスネットワーク層でのセキュリティ強化の必要性

NEC、IoT時代のプラットフォーム戦略
デバイスネットワーク層でのセキュリティ強化の必要性

セキュリティは非常に重要。モノが繋がって、デバイスのなりすまし、不正なデータを悪意を持って投入されるなど、システムに与える影響を全体としてセキュリティを担保していく必要がある。

様々なデバイスが接続されるシステムでは、デバイスがセキュリティホールとなるリスクが増大。デバイスネットワーク層でのセキュリティ強化が必要だ。

そして本日発売されたのは、大量なデバイスから収集される多種多様なデータをリアルタイムに処理し、新たな付加価値を創出するビッグデータ分析基盤に最適な高集積サーバ DX2000。現行モデルに比べ、ラックあたりで10倍、システム最大性能で100倍の高性能を実現した、ベクトル型スーパーコンピュータ。暗号機能と従来比4倍のデータ転送能力により、セキュアで高性能なI/O拡張性を実現。ビッグデータ処理能力をスケーラブルに増強した、ExpEther 40G。

NEC、IoT時代のプラットフォーム戦略
DX2000
NEC、IoT時代のプラットフォーム戦略
ExpEther 40G I/O拡張ユニット
NEC、IoT時代のプラットフォーム戦略
ExpEther 40G ボード

さらに、クラウド上の仮想マシンから実世界のUSB等をダイレクトに利用可能、遠隔地から仮想PC上のデスクトップを共有/リモート操作を実現し、簡単にリモート運用ができる、Collaboration Assistantは2016年の発売を予定している。

 

NECプラットフォームの特長、他社と違う点として、5層モデルという形を明確に定義し、それらを今までやってきたビッグデータ、クラウド、セキュリティなどの知見を活用して、IoT時代の様々なセンサーからクラウド含めた、新しいデータの価値を追求するといった全てにチャレンジできる技術的な優位性、戦略の明確さは、世界的にトップクラスだと自負しているとし、IoTは多くのベンダーがおりIoT全体の各パートの強化が多いと感じているが、NECは全てに対応できると自信を見せた。

ソリューション構築については、全部自前で揃えるわけではなく、世界の様々な企業との協力関係を協議中だということだ。

こちらでNECのioTの事例を紹介

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