新しいモビリティーサービスの社会実装に挑戦し、地方の移動課題および地域活性化に挑戦する地域や企業に対し、経済産業省と国土交通省が支援を行う「スマートモビリティチャレンジ」。
2019年6月21日に開催された「スマートモビリティチャレンジシンポジウム」では、経産省・国交省から「パイロット地域」「先行モデル事業」に選出され、多様な経済活動と連携し地域全体を活性化するMaaS(=モビリティ・アズ・ア・サービス)に取り組む5つの自治体が登壇し、講演を行った。
3番目に登壇したのは、静岡県静岡市副市長の美濃部雄人氏である。

美濃部副市長が今回の講演で掲げたキャッチコピーは「MaaSで解決!3つのラストワンマイル」。自宅から中心市街地へ移動する際に抱えている問題と、それに対するMaaS構想について美濃部副市長は説明を行った。
ターミナル周辺が抱える交通問題
まず美濃部副市長が挙げたのは、駅やバスのターミナル周辺で起きる交通の課題だ。

具体的には(1)駐車場待ちの行列解消(2)駅からバスへの乗り継ぎ促進(3)シェアサイクルの導入、の3点を美濃部副市長は問題として述べている。
駐車場待ちの行列解消
(1)は通勤・通学ラッシュの時間帯に、中心市街地において駐車待ちの車が並び、渋滞を引き起こしているという問題。これについては、市内のデパートや小売店に協力してもらい、各店舗の駐車場を利用すると割引特典がもらえるサービスを提供するなど、すでにMaaS以外の手段で解決案に着手しているという。
駅からバスへの乗り継ぎ促進
(2)について美濃部副市長は、都心部まで電車で移動するが、そこからバスを使わず徒歩移動を行う乗客が多いことを述べた。その背景には電車からバスを乗り継ぐ際に一本化された料金サービスを充実させれば乗り継ぎ客が増加するのでは、と美濃部副市長は分析する。
これに対して静岡市が構想したのが、電車・バスの料金を一本化したMaaSだ。電車・バスの共通定期券といったサービスについては既に着手しているが、これをMaaSにつなげることで、よりサービスを多様化できないか検討していく、と美濃部副市長は語る。
講演内では具体的な構想は紹介されていないが、国土交通省のホームページで公開されている「先行モデル事業」に関する資料によれば、例えばウェブ上で支払いができる地域通貨の導入などが予定されているという。
シェアサイクルの導入
(3)について美濃部副市長は、自家用車・バス・電車以外の移動手段をふやすために、シェアサイクルの導入を検討していることを述べた。このシェアサイクルについても単に導入するだけでなく、他の交通手段との連携など複数のサービスとつなげるMaaSを検討していくという。
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1986年千葉県生まれ。出版関連会社勤務の後、フリーランスのライターを経て「IoTNEWS」編集部所属。現在、デジタルをビジネスに取り込むことで生まれる価値について研究中。IoTに関する様々な情報を取材し、皆様にお届けいたします。