行政面積が約700平方キロメートルの上士幌町では、市街中心部や農村地域において主に高齢者などの交通弱の人の買い物や通院のために循環バスが運行されているが、財政負担や運転手不足などの課題がある。今後は、コストの低減を図りながら様々な世代が快適に暮らす「生涯活躍のまち」の実現に向け、外出の機会を創出するため、移動サービスの利便性向上が求められている。
また、観光客や来訪者が、マイカー以外の手段で来訪した場合、周辺の観光地や飲食施設への移動手段が限られているという課題があり、マイカー以外の移動手段の充実と、各種移動サービスの予約などの手続きを簡単・便利に行える仕組み作りやその案内により、観光客の回遊性向上や、新たな移動需要の創出、交流人口の増加が期待されている。
今回、北海道上士幌町、Japan Innovation Challenge実行委員会、SBドライブ株式会社および株式会社MaaS Tech Japanは、経済産業省および国土交通省が推進する、新しいモビリティーサービスの社会実装に挑戦する地域などを応援するプロジェクト「スマートモビリティチャレンジ」の一環として「生涯活躍のまち上士幌MaaSプロジェクト」を2019年10月5日から開始する。
今回、SBドライブが提供する自動運転車両の運行管理プラットフォーム「Dispatcher」と、MaaS Tech Japan のMaaSに関する知見や技術を組み合わせて、これらの課題解決を目的とした2つの実証実験を生涯活躍のまち上士幌MaaSプロジェクトとして実施する。
- 自動運転車両による商品の配送
- MaaSアプリによる観光地への移動最適化
町内のスーパーから高齢者が多く居住する団地内まで自動運転車両を走行させ、上士幌町に住む人が専用のスマホアプリで注文・配送予約した商品と、上士幌町に住む人を同時に運ぶ貨客混載による配送事業の実証実験を行う。これにより、貨客混載による配送事業の受容性と自動運転車両の走行に関する技術を検証する。
MaaSアプリで、鉄道などの既存の移動手段に加え、シェアカー、シャトルバス、レンタルサイクル、レンタル電動サイクルなどさまざまな移動手段を組み合わせたモビリティの案内・提供を行う実証実験を行う。利用者はMaaSアプリの活用により、周辺の観光地や飲食施設への移動を容易に実現する。また、ユーザーの移動行動に応じたポイント付与など、移動需要の創出や移動最適化のための機能を順次追加展開を予定している。
今回、案内・予約機能を持った MaaS アプリの受容性・ニーズ調査と、新しい移動手段(シェアカー、シャトルバス、レンタルサイクル、レンタル電動サイクルなど)のニーズ調査および技術を検証する。
今後は、2020年4月に開設予定の施設「道の駅かみしほろ」「かみしほろシェアオフィス」とMaaSとの連携による移住・交流人口の増加を目指し、上士幌町に住む人の外出機会の増加や、既存の移動サービスと配送サービスの組み合わせの検証、回遊性向上による観光客増加などの検証を順次進めていく。
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