内田洋行ビジネスITフェア2024

日産・東北電力ほか3社、電気自動車を活用したバーチャルパワープラント構築に向けた「V2G実証プロジェクト」を継続実施

東北電力株式会社、日産自動車株式会社、三井物産株式会社、三菱地所株式会社、リコージャパン株式会社は、電気自動車の蓄電池を活用し、電気自動車やプラグインハイブリッド車の蓄電池を電力系統に接続して充放電する技術「V2G」の構築に向けて、2020年3月31日まで共同で実証プロジェクトに取り組むことを発表した。

同実証プロジェクトは、昨年度に経済産業省資源エネルギー庁の補助事業「平成30年度需要家側エネルギーリソースを活用したバーチャルパワープラント(※1)構築実証事業(V2Gアグリゲーター(※2)事業)」に採択され、当該補助事業の一環として取り組んできたもので、今年度も同補助事業に採択されたことから、引き続き実施するものである。

昨年度は仙台ロイヤルパークホテル(仙台市泉区)の地下駐車場に設置した充放電スタンド2台と電気自動車2台(カーシェアリング(※3)車両として提供中(※4))を利用し、基本的な制御方法の特性を把握した(※5)。

今年度は、新たに仙台うみの杜水族館(仙台市宮城野区)に隣接した高砂中央公園敷地内駐車場(以下、仙台うみの杜水族館隣接駐車場)に充放電スタンド2台、リコージャパン仙台東事業所(仙台市若林区)・郡山事業所(福島県郡山市)の駐車場にそれぞれ1台ずつ充放電スタンドと電気自動車を設置する。

そして複数箇所に配置した電気自動車の蓄電池の充放電を遠隔で同時もしくはリレー方式で制御し、電力需給バランスの調整機能として求められる動作の正確性をリソース全体で検証する。日産・東北電力ほか3社、電気自動車を活用したバーチャルパワープラント構築に向けた「V2G実証プロジェクト」を継続実施

また、今回は技術の実証に加えてビジネスモデルの検討を深掘りするため、それぞれ事業形態の異なる「カーシェアモデル」、「観光施設モデル」、「事業所モデル」の3つに分類し、新たなビジネスモデルやサービスの開発に向けて検討していく。

同実証プロジェクトにおける各社の主な役割は以下のとおり。

  • 東北電力
    • 電気自動車充放電スタンドの遠隔監視・制御システムの構築および将来のV2Gシステムのあり方の検討
    • 電気自動車の蓄電池の充放電が電力系統にもたらす影響の評価
  • 日産自動車
    • 電気自動車の蓄電池残量や走行データ等の収集・分析
    • カーシェアリング事業の運営
  • 三井物産
    • 実証場所の確保(仙台うみの杜水族館隣接駐車場「観光施設モデル」)
    • 電気自動車充放電スタンドの設置・運営
    • 電気自動車の電力系統向け需給調整サービス等への活用可能性の検討
  • 三菱地所
    • 実証場所の提供(仙台ロイヤルパークホテル「カーシェアモデル」)
    • 電気自動車のホテルや商業施設等における活用可能性等の検討
  • リコージャパン
    • 実証場所の提供(仙台東事業所・郡山事業所「事象所モデル」)
    • 電気自動車充放電スタンドの設置・運営
    • 電気自動車の自社事業所等における活用可能性等の検討

※1 仮想発電所(VPP)といい、自治体や企業、一般家庭の消費者などが保有している発電設備や蓄電池、電気自動車など、地域に分散して存在するエネルギーリソースをIoTなどの新たな情報技術を用いて遠隔制御し、集約することで、あたかも一つの発電所のように機能させること。
※2 電気自動車の蓄電池を電力需給調整に活用するV2G(Vehicle to Grid)の構築に向けて取り組む事業者のこと。
※3 日産自動車株式会社と株式会社日産カーレンタルソリューションの共同事業である「NISSAN e-シェアモビ」によりカーシェアリングサービスを提供。
※4 実証期間中、電気自動車の充放電を伴う試験を実施しない日に、カーシェアリング車両として提供。
※5 V2Gの活用可能性(電力需要のピークシフト(kWh価値)、再生可能エネルギー等発電設備の出力抑制回避対策(kWh価値)、電力の需給バランス確保に必要となる調整力の提供(ΔkW価値))を検証するため、短時間の周波数対応や長時間の制御を通じて、指令値に対する追従性、応動性、継続性等の制御特性を把握。

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