日産自動車株式会社は、次世代のクルマづくりコンセプト「ニッサン インテリジェント ファクトリー」を発表した。同コンセプトは、以下の3つの柱によって構築される。
- 未来のクルマを作る技術
- 匠の技で育つロボット
- 人とロボットの共生
クルマは、「電動化」「知能化」「コネクテッド」など、複雑な技術が搭載されていく。生産ラインを革新することで高度化したクルマの生産に対応していく。
匠の磨き抜かれた技を数値化して、ロボットに伝承する。匠は、更なる現場改善や、自動化できない感 性品質、複雑化する技術への対応など、高品質のクルマづくりを支えていく。
人には厳しい作業をロボットが助けることで、人が働きやすい環境を作っていく。女性や高齢者も活躍できる工場にすることで、働き方の多様化を加速させていく。
同コンセプトによる主な技術は以下の通り。
- パワートレイン一括搭載システム
- シーリング塗布の自動化(匠の技の自動化)
- 革新塗装ライン
電気自動車(EV)やe-POWER、ガソリン車のパワートレインユニットの組立を一括搭載するシステムである。従来は、大勢の作業者が負荷の高い姿勢でモーター、エンジン、バッテリー、サスペンションをそれぞれ組付けていたが、同システムでは、パレットの上に作業者がパワートレインの組立に必要な部品をセットするだけで、ロボットが自動で組付ける。
日産の生産技術研究開発センターが独自開発したこのパレットは、モーター、エンジン、バッテリー、サスペンションの27通りの組合せに対応し、顧客への選択肢を提供していく。また、ビジョンシステムによる画像認識によりクルマのボディを測定し、0.05mmの精度で組付けを行う。
これまで、車体パネルの接合箇所の水漏れを防止するシーリングは、施工する部位の形状が複雑なため、自動化が難しく、技能者の熟練した技術に頼っていた。今回、匠がハケやヘラでシーリングの塗布をして仕上げる際の、力加減や動かす角度を数値化して、ロボットに伝承することで、匠の手の動きを再現することを可能にした。
同コンセプトは環境にも貢献する。従来、金属製のボティと低温での塗装が不可欠な樹脂製のバンパーとは別々の工程で塗装をしていた。今回、日産で新たに開発した水系塗料は、低温で難しかったボディ塗装における粘性のコントロールに成功し、ボディの低温塗装を実現した。これにより、ボディとバンパーの同時塗装が可能となり、CO2を25%低減することができる。
また、従来、塗装工程で空気中に残留した塗料は、水と混合され廃棄物となっていたが、水を一切使わないドライブースを採用することで、浮遊する残留塗料を100%回収し、鋳造工程にて鉄を生成する際に、不純物除去のために使用されていた補助剤の代替として、リサイクル活用する。
日産自動車は今後、同コンセプトを栃木工場に約330億円を投じて導入するのを皮切りに、国内外の工場へ展開する予定である。
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