経産省、「自動走行の実現及び普及に向けた取組報告と方針Version5.0」の取りまとめを公表

経済産業省および国土交通省では、2020度までの実証プロジェクトとして、ラストマイル走行実証、高速道路におけるトラック隊列走行実証実験に取り組んできた。

これらのプロジェクトを通じて、2021年2月22日には新東名高速道路の一部区間において後続車の運転席を実際に無人とした状態でトラック後続車無人隊列走行を実施し、2021年3月25日には、福井県永平寺町においてレベル3の認可を受けた遠隔型自動運転システムを用いて1名の遠隔運転手が3台の無人自動運転車両を運行する形のサービスを開始するなど、自動運転サービスの実現に向けた成果が着実に得られているところである。

ラストマイル自動走行実証
ラストマイル自動走行実証
永平寺町では、2020/12/22に自家用有償旅客運送法によるレベル2遠隔型無人自動運転サービスでの試験運行を開始。また、2021/3/25にレベル3遠隔型自動運転システムの本格運行へ移行。
高速道路におけるトラックの隊列走行実証実験
高速道路におけるトラックの隊列走行実証実験
2021/2/22、新東名高速道路の一部区間において、後続車の運転席を実際に無人とした状態でのトラックの後続車無人隊列走行技術を実現

一方、これらのサービス・技術が実現できても、限定的な技術、サービス、地域に止まり、本格的な自動運転サービスの展開に向けては更なる取組を進めることが必要である。

2020年度の自動走行ビジネス検討会では、無人自動運転サービス(レベル4)の社会実装に向けて、これまでの実証プロジェクトの成果を踏まえつつ、「今後5年間で取り組む次期プロジェクトの工程表」「実証実験の実施者の協調による取組の推進」「今後の協調領域として取り組むことが考えられる課題」等を検討し、報告書「自動走行の実現及び普及に向けた取組報告と方針Version5.0」を取りまとめた。

無人自動運転サービスの実現及び普及に向けた次期プロジェクト工程表

2019年度の自動走行ビジネス検討会で策定した「無人自動運転サービスの実現及び普及に向けたロードマップ」の方向性に基づき、以下の4テーマについて検討を行い、2025年度までの5年間に取り組むべき次期プロジェクトの工程表を作成した。

無人自動運転サービスの実現及び普及に向けたロードマップ
2019年に作成された、無人自動運転サービスの実現及び普及に向けたロードマップ 引用: 経済産業省
経産省、「自動走行の実現及び普及に向けた取組報告と方針Version5.0」の取りまとめを公表
今回検討された4つのテーマ

次期プロジェクトでは、技術開発や実証実験にとどまらず、社会実装に向けて、事業化まで見据えた体制の構築、国際標準化や国際協調、インフラや制度などの課題に係る関係省庁への情報提供等に取り組むこととしている。

今後自動走行に関して、取り組むべき課題

日本が自動走行の分野で国際競争力を維持・強化していくためには、これまでの協調領域の取組を引き続き推進するとともに、自動走行を取り巻く新たな動きを踏まえ、競争と協調の切り分けに留意しつつ、協調領域を深化・拡大していくことが期待されている。

そのため、今後の協調領域の課題として、次期プロジェクトでも挙げられている以下の5つの点を中心として取り組むこととしている。また、これらは相互に関連しており、横断的な視点も含め取り組むことが重要としている。

1. ODDの類型化

ODDを類型化し、それに応じてセンサー構成等のモジュールやリスク評価手法のパターン化を行うことで、他の地域に円滑に横展開する方策を検討する。

ODD(Operational Design Domain)とは、「運行設計領域」のこと。自動運転を行う上で、前提となる条件。例えば、「高速道路での自動運転が可能」という場合などを指す。どんな条件でも自動運転ができるレベル5を目指しているわけだが、現状ではまだどんな条件下でも自動運転ができるということではないので、自動運転について話す時、その前提条件がどうなっているかを意識することが重要になる。

2. 遠隔監視等の人の関与の在り方

緊急時の場合の遠隔監視等の人の関与の在り方やHMI等のシステムと人の連携の在り方を検討。

3. レベル4サービスの関係者間の役割分担のあり方

従来運転者が担っていた運行から維持管理や保守点検までの義務や役割について、関係者間の役割分担のあり方などを検討。

4. センサー・データ様式等の共通化/標準化

ADAS向けの技術や他の移動手段、インフラ側とのセンサー・データ様式等の共通化や標準化を行うことを検討。

ADAS(Advanced Driver-Assistance Systems)とは、「先進運転支援システム」のこと。ドライバーの安全や快適性を実現するために、クルマが周囲の状況を把握して、ドライバーに警告などを適宜行うシステムのことだ。

5. インフラ連携の仕組み

インフラ側のセンサーからの支援やレベル4に対応したインフラの整備を行う場合の維持管理や収益モデルなども含めインフラ連携の仕組みについて検討。

出典:経済産業省ウェブサイト

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