国土交通省が主導する、日本全国の3D都市モデルの整備・活用・オープンデータ化事業「Project PLATEAU」では、2020年度に44件のユースケースの開発を行った。公式ウェブサイトではPLATEAUのデータをダウンロードすることなくブラウザ上でプレビューできる「PLATEAU VIEW」を公開中であり、ユースケースもこの中で閲覧可能となっている。
2020年度開発ユースケースである全国48都市の洪水浸水想定区域の3D表示モデルも実装されており、津波浸水想定の3D表示モデル、土砂災害警戒区域の2D表示モデルとあわせて表示することができる。
台風や大雨による災害で注目度・重要度が増しているハザードマップだが、いまだ全国的な認知度は低い状態にある。3Dで都市を表示できるPLATEAUを活用することで、直感的に理解しやすい形で災害リスクを視覚化することが可能となり、より有用なハザードマップにつながると考えられているが、PLATEAU VIEW ではその一端を体験することができる。
このほど、Project PLATEAUが2021年度の新たなユースケース開発として、4つの実証実験を開始した。2021年度は特に社会的要請の高い課題や先進技術を取り込んだユースケース開発をテーマとしており、スマートシティの社会実装に向け実用性の高い実証実験が選定された。
- 太陽光発電ポテンシャル推計・反射光公害シミュレーション
- 自動運転車両の自己位置推定における VPS(Visual Positioning System)活用
- 工事車両の交通シミュレーション Ver2
- 大丸有 Area Management City Index(AMCI)
(株式会社三菱総合研究所・国際航業株式会社・株式会社フォーラムエイト・Pacific Spatial Solutions 株式会社)
石川県加賀市において、加賀市と連携し、建物の屋根面積、傾き、隣接建物による日陰発生など、3D都市モデルのデータを活かした都市スケールの太陽光発電ポテンシャル推計等のシミュレータを開発する。都市内における太陽光発電普及に向けた施策検討への有用性を検証する。
(株式会社三菱総合研究所・凸版印刷株式会社・国際航業株式会社)
静岡県沼津市において、静岡県と連携し、カメラ画像から取得した情報と3D都市モデルの特徴点とを照らし合わせることにより、車両の自己位置を推定するVPS(Visual Positioning System)を開発する。安価・効率的な自動運転システムへの活用可能性を検証する。
(株式会社竹中工務店・株式会社アクセンチュア)
大阪府大阪市において、3D都市モデルを用いた工事車両の搬入経路シミュレータを開発する。地域住民の安全・安心や施工業者の円滑な資材搬入を実現する建設物流プラットフォームの構築を検証する。
(PwCアドバイザリー合同会社・株式会社アブストラクトエンジン(パノラマティクス)・一般社団法人大手町・丸の内・有楽町地区まちづくり協議会)
大丸有(大手町・丸の内・有楽町)エリアにおいて、大丸有まちづくり協議会と連携し、エリアマネジメント活動のプラットフォーム「AreaManagement City Index(AMCI)」を開発する。まちづくり活動のビジュアライゼーションによる企業や個人の参加促進を検証する。
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