愛知県春日井市にある高蔵寺ニュータウンは、1968年の入居開始から半世紀以上が経過し、住民の高齢化も進んでいる。自家用車に頼れない高齢者も増えるなか、自宅から主要施設が集まるセンター地区や総合病院に移動する手段が限られるなど、交通課題が表面化してきた。
そこで春日井市は、国立大学法人東海国立大学機構名古屋大学(以下、名古屋大学)と連携して高蔵寺ニューモビリティタウン構想を掲げ、例えば自宅からバス停や商業施設、集会所など地区内の移動を支える自動運転サービスの実証実験などに取り組んできた。
大日本印刷株式会社(以下、DNP)、春日井市、名古屋大学、独立行政法人都市再生機構(以下、UR)、一般財団法人計量計画研究所(以下、IBS)、株式会社未来シェア、高蔵寺ニュータウンセンター開発株式会社(以下、高蔵寺センター)が参画する高蔵寺スマートシティ推進検討会は、令和4年度国土交通省都市局スマートシティ実装化支援事業で採択された「交通結節点のスマート化によるにぎわいのある安心安全なまちづくり」の実証実験を2023年1月30日~3月3日まで実施することを発表した。
今回の実証実験では、高蔵寺ニュータウン内の商業施設や病院の全5カ所の拠点に交通結節点となる「DNPモビリティポート」を設置する。これにより、拠点・地区間や地区内の移動・回遊および実験に参加する店舗への誘客を促進する。
モビリティポートのデジタルサイネージを活用し「オンデマンド乗合タクシーの予約」と「シェアサイクルの貸し出し」のほか、「バス時刻表の掲示」および「DNP MAPベース地域情報発信プラットフォーム」を使った「MAPベースの地域情報・店舗情報・イベント情報の案内」等を可能とする。
また、オンデマンド乗合タクシーの予約に交通系非接触ICカードが使える認証システムの試行や災害時の避難移動を支援する「防災コンテンツ」を試験的に放映する。
高蔵寺スマートシティ推進検討会は、今回の実証実験で複数拠点に設置したモビリティポートによる交通結節点のスマート化による住民の移動・回遊への影響、課題を確認し、分析する。この結果をもとに、オンデマンド乗合タクシーなどの新たな交通システムと既存公共交通のスムーズな乗換や、公共交通の利用を促進するクーポンなど商業施設との連携によるにぎわい創出といった新たな交通結節点のあり方や導入について検討を進めるとしている。
なお、同実証実験における各社の役割は以下の通り。
- DNP:モビリティポートの提供
- 名古屋大学:実験企画・調整
- UR:団地内関係者調整
- IBS:実施効果分析・検証・とりまとめ
- 未来シェア:オンデマンド乗合タクシーのシステム提供
- 高蔵寺センター:商業施設テナント交渉・連携
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