鹿島建設株式会社(以下、鹿島)とBOLDLY株式会社は、羽田みらい開発株式会社などと共同で、2020年9月に大規模複合施設「HANEDA INNOVATION CITY」(以下、HICity)内において、運転手の責任の下、一定の条件下でシステムが運転操作を実行する自動運転レベル2でのバスの定常運行を開始している。
HICity内での定常運行およびHICity外のルートにおける実証実験では、BOLDLYが提供する遠隔監視システム「Dispatcher」(ディスパッチャー)を使用し、一定の条件下でシステムが全ての運転操作を実行する自動運転レベル4でのバス運行を見据えた体制の構築に取り組んできた。

そして今回、道路交通法が適用されるHICity内の道路において、BOLDLYが運行する自動運転バス「ARMA(アルマ)」を自動運転レベル4で運行する許可を取得した。
具体的には、2024年6月21日に東京都公安委員会から特定自動運行許可を、2024年6月26日に東京空港警察署から道路使用許可を取得した。
さらに今回、自動運転レベル4でのバスの運行許可取得に向けて、関係省庁と具体的な協議を進める過程において、新たに下記の取組みを行った。
一つ目は、緊急車両のサイレン音の検知時に、自動停車指示を出すシステムの開発だ。このシステムは、自動運転バスに取り付けたマイクが緊急車両のサイレン音を検知すると、「Dispatcher」から自動で停車指示を出す。
二つ目は、自動運転バスと「Dispatcher」をつなぐ通信回線の冗長化だ。緊急車両が接近した際、遅滞なく確実に停車できるように、自動運転バスと「Dispatcher」をつなぐ通信回線を冗長化した。
三つ目が、LiDARセンサの追加による障害物の検知範囲拡大だ。HICity内を定常運行している自動運転バスには、LiDARセンサが計8個搭載されており、高さ30cm以上の障害物を検知できる。
今回、車体前方にLiDARセンサを2個追加搭載したことで、高さ15cm以上の障害物を検知できるようになった。
四つ目は、周囲の歩行者などに自動運転のステータス(自動・手動)を伝えるためのディスプレイ設置だ。自動運転中は「自動運行中」とディスプレイに表示し、事前に定めた走行環境条件を満たさない状況になり、手動運転を行う場合は、ディスプレイが「手動運行中」に切り替わる仕様だ。

これらの取組みの結果、これまでと同じルートにおいて、自動運転レベル4にてバスを運行する許可を取得した。
当面の間は、車内にスタッフ(特定自動運行主任者)を配置し、乗車案内の他、事故発生時の救護などの現場対応や事前に定めたODDを満たさない場合の運転操作などを行う。
また、茨城県境町にある遠隔監視センターから「Dispatcher」を使用して、自動運転バスの監視を行う。
将来的には、車内にスタッフ(特定自動運行主任者)を配置せずに、遠隔監視者が利用者をサポートする運行体制に移行する予定だ。
また、将来的に遠隔監視者が「Dispatcher」を用いて、一人で複数の自動運転車両を遠隔監視できるようにすることで、生産性向上への寄与も目指す。
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