電気自動車の標準OS(オペレーションシステム)となるか、トヨタ・マツダ・デンソーがEV開発で協業、新会社「EV C.A Spirit株式会社」を設立

地球温暖化や自動運転が注目される昨今、既存の自動車業界は岐路に立っていると言える。各メーカー様々な思惑がある中でいつ、どこへ舵を切るのか。大いに注目が集まっている。そんな中、トヨタ、マツダ、デンソーの3社が、電気自動車の基本構想に関する共同技術開発に向けた契約を締結し、新会社「EV C.A Spirit株式会社」を設立した。

この契約は本年8月にトヨタとマツダが締結した合意書を具体化したものであり、今回、そこにデンソーが加わり新会社を設立することで、EV(電気自動車)開発へ向け3社のエンジニアが一堂に会して活動を開始することになる。出資金は1,000 万円で、比率はトヨタ90%、マツダ5%、デンソー5%。発足時の社員数は40名だ。

今回の3社協業、そして新会社設立は何を意味するのか。

EV市場は2035年には、2016年比13.4倍の630万台と予想

2016年のEV世界市場は、前年比38.2%増の47万台だった。そして2035年には630万台規模になると予測されている(2016年比:13.4倍)。

トヨタ・マツダ・デンソーがEV開発で協業、新会社「EV C.A Spirit株式会社」を設立
HV、PHV、EVの世界市場(2017/06/22 富士経済調べ)
※トラック・バス/超小型モビリティを除く。HVに48マイルドハイブリッド車は含まない

テスラに続き、BMWやフォルクスワーゲン、中国BYD、ルノー・日産・三菱など、世界の自動車メーカー各社が次々とEV事業への進出を表明している。

そしてつい先日、あの空調家電のメーカーとして知られる英ダイソンまでもが、2020年までにEVを製造すると発表した。同社はEV開発に約1500億円を投資するというが、これは掃除機やエアフィルターの研究開発支出を大幅に上回る額だ。

EV市場で今最も注目すべきなのが、中国である。同じく富士経済の調べによると、2016年の中国のEV市場は前年比60.0%増の24万台となり、世界最大の需要地となっている。これには、中国政府がEV導入を強く後押ししていることが背景にある。実際、北京などの都市でナンバープレートの無償取得を含めた購入補助の実施が市場拡大の大きな要因だったという。

14億人の人口を抱える中国のEV市場拡大は、世界の自動車メーカーがEVへ舵を切る最大の吸引力になっていると言っても過言ではない状況だ。

一方で、まだ決して大きな市場となっているとはいいがたい状況で、普及には「給電スタンド」など街のインフラ整備などにもコストはかかるので、スマートシティを巻き込んでEVの市場が今後どのように成長していくのかにも注目は集まる。

上海の給電スタンド

トヨタとデンソー、マツダつくる、クルマのOS(オペレーションシステム)

そんな中、環境に優しい「究極のエコカー」としてFCVの開発に力を入れてきたトヨタだが、今回の新会社設立でEVへの参入も明確にしたといえる。
(FCVとは、燃料電池で水素と酸素の化学反応によって発電した電気エネルギーを使って、モーターを回して走る自動車のこと)

なお今回、電装部品で強みを持つデンソーが新会社に加わったことで優位性のあるEVの基本構造の開発を可能とし、量産型EVのプラットフォームができることで、様々なプレーヤーの参入障壁を下げ、市場の拡大も加速するのではと思われる。実際、他の自動車メーカーやサプライヤーも参画可能なオープンな体制をつくるということだ。

一方で、各社は、EVを「コモディティ化」させることなく、リソースをクルマ本来の価値追求に注力し、それぞれのブランド独自の付加価値あるクルマを追及していくということだ。

【関連リンク】
トヨタ(TOYOTA)
マツダ(Mazda)
デンソー(DENSO)

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