トヨタ、コネクティッドカーと自動運転技術の社会的受容性について5つの研究プロジェクトを開始

トヨタ自動車は、交通事故死傷者の低減を目指し、北米の大学や病院、研究機関等と共同研究を行う先進安全技術研究センター(Collaborative Safety Research Center、以下CSRC)の5つの新たな研究プロジェクトについて公表した。

これらのテーマは、自動運転技術・運転支援技術などの先進的な車両技術をドライバーがどのように使い、感じるかに関する理解を深める研究プロジェクトだ。

同プロジェクトは、5つの米国内の研究機関とのパートナーシップにより実施中であり、CSRCが新時代のモビリティへの安全な移行を支え、推進していく新たな5か年プログラムである「CSRC ネクスト」の一部として実施するとしている。

背景

自動運転・運転支援技術などの車両技術は、路上の安全性向上に大きな効果をもたらす一方で、ドライバーはそうした技術とどのようにかかわっていくことが最も効果的なのか、またドライバーが安全にクルマを操作するためにどんな教育が必要なのか、という点は未だ理解が進んでいない重要な研究課題だ。

トヨタが発表した5つのプロジェクトの内の4つは、こうした新技術の使用において、ドライバーの理解・行動に関するデータを基に社会受容性への洞察をしようとするものだ。

この研究により、ドライバーとクルマが効果的に支えあうことを促進し、ドライバーにより安全な運転行動を促し、危険な運転行動には可能な対策を打てるようになると同社は考えている。

プロジェクトの詳細

1. 神経人間工学による自動運転技術のメンタルモデルの評価

ドライバーの様々な要因や経験が、進化する先進安全技術の正しい理解促進にどう結びつくかを神経人間工学の手法を用いて客観的に捉える。

2. 運転行動データによる自動運転技術の理解に対するメンタルモデルの評価

最新の先進安全技術が搭載された車両のユーザーがどのように技術の理解を深めていくか、その心理構造について運転行動データを元にして明らかにする。

3. 教育により、リスクを軽減し安全運転を促進する効果の研究

運転における自発的なリスク軽減行動を抽出してその特性を調査。将来の運転中リスクの低減にどのように有効かを評価する。

4. 不安全な運転行動を改善する手法の評価

運転行動および個人特性データから、不安全な運転行動を誘発する要因を調査し、ドライバーの個性毎に安全運転を効果的に促す理論・方策を究明する。

5. 自動運転時に安全運転行動を無意識に促す手法の研究

刺激と行動の結びつきを強くする簡易的なトレーニングを通して、予想されるリスクに対して適切な行動が自動的にかつ負担なく誘発されうるという考え方の検証を試みる。

プロジェクトのパートナーシップ

5つのプロジェクトは、以下の大学・研究機関とのパートナーシップにより実施される。なお、以下のパートナーは、上述の5つのプロジェクトの順に対応している。

  1. ジョージ・メイソン大学(George Mason University)
  2. ロックビル・インスティテュート(Rockville Institute)
  3. ワシントン大学(University of Washington)
  4. ミシガン大交通研究所(University of Michigan Transportation Research Institute)
  5. サンフランシスコ州立大学(San Francisco State University)

それぞれのプロジェクトのデータは関係機関の間でシェアされ、スピーディな研究の促進につなげていくほか、研究結果については、業界全体を通じて自動車の安全性を向上させていくため、公開される予定だとしている。

CSRCについて

CSRCは本年5月に「CSRC ネクスト」を立ち上げ、2011年の設立以来、5年間にわたる活動を通じ得られた研究知見の上に、新たな研究知見を得るべく3500万ドルを投じる。

「CSRC ネクスト」は、Toyota Research Institute(TRI)や、Toyota Connectedで行われている研究とも連携しながら、自動運転技術やコネクティッド技術の開発加速も狙うとしている。

CSRCは、2011年の設立以来、26の大学とのパートナーシップの下で60の研究プロジェクトの立ち上げと完了に取り組み200以上の論文を発表し、様々な車両安全関連の会議でも研究プロジェクトの発表を行ってきた。

【関連リンク】
トヨタ(TOYOTA)
先進安全技術研究センター(CSRC)

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