KDDI株式会社、ノキアソリューションズ&ネットワークス合同会社 (以下、ノキア)、Hexagon AB (以下、 Hexagon)、株式会社KDDI総合研究所は、2018年4月、自動運転時代のコネクティッドカーへの効率的な運転支援情報の配信に向けて、コネクティッドカー向けのLTE一斉同報配信技術を実施した。
レベル4 (無人運転) の自動運転車が安全な運転を実現するためには、車両が走行状態を常時監視し、正確な道路構造物情報を把握するほか、人や障害物など動的情報をリアルタイムにフィードバックするシステムの構築が欠かせない。
また同時に、複数の併走するコネクティッドカーに対し、前方の車両が、落下物や異常気象などを後方の車両に通知する機能や、高精度位置測位のための補強情報の配信など、大量の「運転支援情報」を一斉に効率よく配信する技術が求められている。
現在主流の「個別配信」では、ひとつの電波帯域で1対1の通信を行うため、多くの電波帯域が必要だった。これに対し今回実証した「一斉同報配信」では、多くの相手に対し一つの電波帯域を共用するため、電波の利用効率を向上できるという。
将来、コネクティッドカーの普及台数が1000万台規模に増えたとしても、タイムリーで安定的な情報の受信が期待される。
これまで一斉同報配信は、スタジアムにおける観客への映像放送などに用途を限定し用いられてきたが、今回、4社は、コネクティッドカー向けの情報配信に一斉同報配信を用いるユースケースを新たに定義し、フィールド実証に成功したという。
将来の完全自動運転時代に必要となる運転支援情報の一斉同報配信 (eMBMS) を実証するための実験ネットワークを実フィールドに構築。実際のフィールドにおいて、走行するコネクティッドカーに対する配信成功率やエンドツーエンド遅延を検証し、また位置測位の補強情報の配信における、個別配信と一斉同報配信での測位結果の比較などを実施した。
eMBMS (LTE Evolved Multimedia Broadcast Multicast Service) とは、エリア内の受信を希望する全端末に向けて、同一のデータを、同一の周波数帯域にて送信する技術。
なお、今回は一斉同報配信の性能評価を主眼に置くため、車載測位システムと測位アルゴリズムの評価は対象外とした。
実証実験の流れは以下の通りだ。
- 先行車が検知した道路障害物等の情報を後方車両に一斉同報で伝搬し、コネクティッドカーの衝突回避操作を促した。
- コネクティッドカーが正確に自車位置を把握できるように、基地局の位置を車の「おおよその位置」とみなして配信センターに送信し、一斉同報配信で補強情報を基地局周辺の車に配信。コネクティッドカーが自動運転化されると、正確な自車位置の把握が必要となる。
【関連リンク】
・ケイディーディーアイ(KDDI)
・ノキア(Nokia)
・Hexagon
・KDDI総合研究所(KDDI Research)
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