工場に合わせた個別開発も可能
小泉: 後発で、SI産業からMESに入ってきた企業がいないので、今回の御社の発表は、お?と思ったニュースでした。入り込むことができれば、エッジコンピューティングの世界では中心的な役割を果たす機能になりますよね。
荏原: 『MESOD』の仕様を公開していって、標準規格はないけど「MESOD使えばいいよね」となり、普及してくれるといいなと思っています。今は、パイロットユーザーさんでの先行導入で機能強化を進めています。設備メーカーが『MotionBoard』を活用していただくシーンが増えている中で、設備メーカーのサービスとして『MESOD』が組み込んだ形で、自社のデータがつながっている形を提供していくことも進めています。
小泉: アプリケーション組込み型のエッジあるいはフォグレイヤーの世界は、御社と競合していると思いますが、そことの関係はどうなのでしょうか?
荏原: ウイングアークとしては、重要なお客さまです。さまざまな企業とアライアンスを組ませていただいていますが、詳細については、また発表できるときにお話させてください。「MESOD」は、MotionBoardのライセンスを含め500万円程度になので、今までのMESを構築し導入することに比べれば安いと思います。
小泉: 実際にはどのように使うのでしょうか?
荏原: サーバーのソフトウェアですので、サーバーを立てていただいて『MESOD』を導入いただく流れになります。ゆくゆくはクラウドでも提供したいと考えていますが、MES自体は個別開発が絶対に必要ですので、『MESOD』からはじめていただいてMESのコンサルテーションや一般的なカスタムMESの構築も事業として対応していきます。
設備からダイレクトに『MESDO』をつなぎたい、製造指示を『MESOD』から介したいという場合は個別開発も対応しております。今も個別MES開発のメンバーが全国の工場を飛び回り、ごりごりに作っております。
小泉: 『MESOD』の品質の問題やばらつきを検知するとは、どういうことでしょうか?
荏原: 最初に取り組んでいるのは、重さや形(長さ)です。不良品が発生する前には、重さや形がばらつきだすことが多いので、『MotionBoard』の管理図(ISOのばらつき基準をはかるKPI)機能を使って「徐々にばらつきが多くなっているので不良が発生しやすい状態ですよ」といった内容をメールやSNSで通知します。
小泉: 重さや形は計測機械が測ってくるのでしょうか。
荏原: そうです。そのデータを、CSVで取るような形に作り込んでいます。モノによっては重さや形だけではなく、質や成分も必要になってくるので、それは個別開発によせて「フェーズ2にしましょう」という話をさせていただいています。
さらに、工場がちゃんと動いているかどうかと、遅れが発生するとしたらどの程度遅れているのかというのは生産管理の話なので、生産管理システムから計画管理情報をもらって、出来高がリアルタイムに入ってきます。
例えば、日報管理だと昨日のデータしかないので、「昨日は2時間の残業でした」という事後報告になりますよね。それが『MESOD』を使っていただくと、リアルタイムの生産情報を取りながら、現在の進捗遅れがタイムリーにわかりますので、遅れの挽回に他の作業メンバーを応援に入ってもらおうといった対応ができるようになります。

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