MODEの「高速時系列データベース技術」で、必要な時にすぐデータを取り出せる
株式会社FAプロダクツ 天野眞也氏(以下、天野): 本件のきっかけをお話ししますと、リレーショナルのデータベース(RDB)だと、とにかく処理が遅いという課題があります。データをすべて上げないにしても、現場のセンサーデータは膨大ですから。
たとえば、データの取集を始めてから、その機械が1年後に故障したとします。いつその兆候があったのだろうと調べようとして、過去1年のデータを見ようとしますよね。ところが、それを読み込むのに数分かかるのです。
もっと高速にならないのだろうかと考え、国内のクラウドサービスベンダーさんを探してきました。そこで、MODEの上田学さん(MODE, Inc. Co-Founder兼CEO)とお会いし、ご相談したところ、「弊社の得意とするところです」と回答をいただいたのです。MODEさんの高速時系列データベース技術は、まさに「FA Cloud」の根幹を担う部分です。

小泉: どれくらいのスピードと粒度のデータを扱えるのかが、MODEさんと組むことの意味だと思います。実際には、どれくらいのレベルなのでしょうか。
MODE, Inc. 上野聡志氏(以下、上野): 弊社の技術では、毎秒といった比較的高頻度のデータに加えて、データ解析用であれば、振動データなど10 ms(ミリ秒)なども扱うことができますが、今回ポイントとなるのはデータの蓄積側だけでなくデータ取り出し側なんですよね。
さきほど天野さんがおっしゃったように、分析のためにデータを取り出す時の速度が、RDBと比較して最大2,000倍で実現できる、というのが弊社の強みです。
工場などの稼働データを集めるとその量は膨大になります。そのデータを時系列に“ひゅっと引っこ抜く”というのが僕らの技術です。分析屋の目線でも、ハードウェアを実装する側の目線でも、メリットがあると思います。

天野: いま、現場ではどういう状況かと言いますと、「データロガー」と呼ばれる、データをためる専用の機械が使われています。十万円から数百万円のものまであり、ノートパソコンの中にインストールするようなタイプのデータロガーもあります。
工場内の色々なところにそのようなデータロガーがあり、データはたまっています。しかし、それをあとから時系列でそろえて見るにはものすごく苦労するのです。
ですから、“データの倉庫”のように一つの場所に集約しておくことで、あとから何でもできる。それが「FA Cloud」の特徴です。
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技術・科学系ライター。修士(応用化学)。石油メーカー勤務を経て、2017年よりライターとして活動。科学雑誌などにも寄稿している。