人材育成の取組の成果と労働生産性
企業の意識調査では、ほとんどの企業が何らかの人材育成の取組を行っている。一方、人材育成の取組の成果があがっている企業と、成果があがっていない企業は、ほぼ二分化している。
ほとんどの企業が何らかの人材育成の取組を行っているにも関わらず、半数の企業がその「成果があがっていない」と考えている。
3年前と比べて「生産性が向上した」、他社と比べて「生産性が高い」と回答した企業では、人材育成の「成果があがっている」、 「ある程度成果があがっている」と回答した割合が高い。これらのことから、人材育成の取組による成果を労働生産性の向上としてとらえている企業が多く、人材育成が労働生産性の向上につながることが期待できる。
人材育成の「成果あり企業」の具体的な成果は、「技術や技能に関する理解・知識が深まった」が最も高く、「自社の製品に関する理解知識が深まった」、「改善提案が増えた」と続く。
具体的な成果を内容ごとに分類したところ、「技術・技能の向上」が最も高く、「組織力の向上」が続く。人材育成を行なった成果として、労働者個人の理解・知識の深まりや、作業スピードの向上といった「技術・技能の向上」などの直接的な成果だけでなく、社員同士の教え合いやチームワークの改善などの「組織力向上」につながる間接的な成果もみられている。
3年前と比べて「生産性が向上した」、他社と比べて「生産性が高い」と回答した企業における、人材育成の具体的な成果は、技術や技能に関する理解・知識が深まった」が最も高く、「自社の製品に関する理解・知識が深まった」、「改善提案が増えた」と続く。
それぞれの具体的な成果ごとに各企業を比較すると、「生産性が向上した」企業の方が、「生産性が低下した」企業に比べて、「一人ひとりの作業スピードが上がった」、「改善提案が増えた」、「社員同士で教え合うことが多くなった」といった成果を挙げる割合がより高い。
このように、「生産性が向上した」、「生産性が高い」とする企業においては、人材育成の成果が、社員一人ひとりの生産性の向上や、組織全体としての生産性の向上により多くつながっているものと考えられる。
(2018年ものづくり白書「概要」より抜粋)
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