都内からクルマを2時間くらい走らせた、栃木県小山市にメーカー横断でのロボット展示が行われているショールーム「スマラボ」はある。
このショールームは、IoTデバイスなどとも組み合わさっていて、スマートファクトリーを「今つくるとこうなる」ということがわかる展示スペースとなっている。来訪する企業担当者はこれを見て、自社の工場をどうするのか、という議論を始めるのだという。
国内でも珍しい、この施設をIoTNEWSの八子と小泉が訪問して、スマラボを運営するFAプロダクツ代表取締役会長の天野眞也 氏と、高見守 氏にお話を伺ってきた。
メーカー横断のロボット展示場ができたワケ
IoTNEWS 小泉(以下、小泉): まずは、スマラボを作った背景についてお話しいただけますか。
FAプロダクツ 天野氏(以下、天野): 今まさに第四次産業革命が起きています。日本のものづくりも、大量生産技術によって一旦は豊かになったのですが、現在では日本の製造業は遅れを取り始めています。
薄型テレビは韓国製に負け、家電やパソコンは中国に負けています。車もEVとなると世界に遅れをとっており、日本の立ち位置は非常に危うくなっています。
これを打破するために、「自動化をすすめる」という話になるのですが、実際にはロボットや自動機を単体で入れるという作戦では、差別化が難しいです。
そこで、スマートファクトリー化しなければならないという話になる。実際の製造業ではフロントローディング(前行程での解決)が進んでいるのですが、工場ではこのフロントローディングがなかなか進んでいません。
例えば、装置を作って納める過程で、ロボットハンドリングがうまくいかず、段ボール箱にぶつけてハンドが曲がってしまった場合、プログラミング修正では治すことが出来ず、一旦設置をあきらめて引き上げざるを得ない、ということがまだ起きています。
そして、持ち帰ってハンドの形も再設計しなければならない、ということが日常茶飯事に繰り返されています。それをもっとフロントローディング(前行程で解決)していこう、という取り組みが重要になります。
一方で、工場の生産能力以上の製品が出来上がるということは絶対にあり得ないので、そもそも生産の「グランドデザイン」を再構築できないかと考えました。
一般的な自動化ライン構想では、「これまで人が作っているものを、人手不足なのでロボットに入れ替えましょう」となります。しかし、通常一貫ラインなので、どこかのステーションが止まると全て止まってしまうということが起きます。
現状では能力増強したくなった時は、単純にこのラインを「もう1ライン引く」というやり方でしか解決できない状況となっています。
次ページは、「工場の能力増強を行う一つの解」
無料メルマガ会員に登録しませんか?
IoTNEWS代表
1973年生まれ。株式会社アールジーン代表取締役。
フジテレビ Live News α コメンテーター。J-WAVE TOKYO MORNING RADIO 記事解説。など。
大阪大学でニューロコンピューティングを学び、アクセンチュアなどのグローバルコンサルティングファームより現職。
著書に、「2時間でわかる図解IoTビジネス入門(あさ出版)」「顧客ともっとつながる(日経BP)」、YouTubeチャンネルに「小泉耕二の未来大学」がある。