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生産拠点のグローバル化から国内生産の再評価へ ーものづくり白書2019

1990年代後半は、バブル崩壊や1997年半ばの急速な円高方向への推移、新興国の工業化を背景に国内工場の海外展開が進んだことで、国内製造業が衰退するのではないかという、いわゆる「産業空洞化」の危機感が強まった。

そして2000年頃には「加工貿易」による外貨取得が活発になり、ASEAN諸国への生産設備移転の増加傾向から、国内製造基盤の空洞化が懸念されていた。

しかしながら、グローバル化の進展がますます加速化し、新興国に対する諸国の直接投資が活発になると、工程間の国際分業を進める取組が始まり、「国際分業論」が展開された。

グローバル化の中で世界規模での競争に対応するためには研究開発・生産・販売の各段階において、最適な立地環境が整備されている地域へ拠点を展開し、事業や企業の再編を進め、経営効率を向上させる「国際機能分業」の必要性が指摘されている。

日本の製造業のサプライチェーンはアジア全体に広がり、タイや中国における日系自動車産業の集積も報告された。同時に、国内工場の役割として「マザー機能」を残すという戦略も見られるようになった。

一方ここ数年でアジア諸国での人件費高騰などの影響により、海外から国内へ、投資が戻る傾向もみられる。

生産拠点の国内回帰の有無

どの国・地域から製品・部材の生産を国内に戻したかを見ると、中国・香港が半数以上を占めるとともに、東南アジア諸国からの回帰の動きがある。

どの国から生産拠点を国内に戻したか

国内回帰の理由には、人件費や品質管理上の問題を挙げる企業が多いが、米中貿易摩擦を挙げている企業も少数ながら現れはじめており、今後の動きを注視する必要がある。

製品・部材の生産を国内に戻した理由

最適な生産地は人件費や為替レートなどの様々な要因に基づいて企業活動の中で決定されるものであるが、東南アジア諸国における人件費上昇やカントリーリスクの顕在化に伴い各国への立地のメリット、デメリットが相対化したことにより、国内に立地することのメリットが見直され、再評価されていると考えられる。

(参考:ものづくり白書2019)

INSIGHT

生産拠点の国内生産回帰傾向は、表面的に見れば好ましく見える。

しかし、その内訳の半分は米中貿易摩擦によって中国から米国への輸出が難しくなったことによるものだ。

こうした、機を見るに、敏な対応を見ると、日本企業の柔軟性や機敏性もまだまだ大丈夫だと思う一方で、約4割を占める東南アジアからの国内回帰の原因は異なる理由によるものだと考える。

なぜなら、製品・部材の生産を国内にもどした理由の上位4つは、「人件費、品質管理の問題、リードタイムの短縮、技術上の問題」があげられているからだ。

注目すべきは、「品質管理上の問題」と「技術上の問題」で、日本の強みである品質管理や技術力を、東南アジアでは発揮することが出来なかったとも推測することができる。

つまり、日本の強みであった「品質管理」や「技術力」は、国や世代を超えて継承するのが難しくなっているといえるのではないのだろうか。

国内に生産拠点を回帰したとして、10年、20年先を考えると、なり手不足や技術継承の問題があることは言うまでもない。

今後、品質管理や技術力の継承をどう実現するのか、注目していきたい。
(IoTNEWS スマートファクトリー領域アドバイザー 鍋野)

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