企業が品質保証体制を構築するには、経営層が現場任せとせず、状況把握に努め、トップ主導で品質管理上の方針を示すとともに、意志決定を行っていくことが重要である。
国内製造業における認識を見ると、約9割の企業において、経営層が常に又は定期的に現場の状況を把握している(トップ画)。
これを品質トラブルの発生傾向との関係で見ると、経営層が現場の状況を把握する頻度が高いほど、品質トラブルの発生傾向が低いことが分かる。
なお、経営層の現場把握には、組織のデジタル化が有効であり、実際に品質トラブルがほとんど発生していない企業ほど、経営層による組織のデジタル化が進んでいる傾向にあった。
現場での取組だけではなく、ガバナンスの観点から組織として品質が担保される仕組みを経営者主導で構築することが重要である。
信頼される品質保証体制を築くには、経営層が品質管理を現場に任せきりとせず、率先して品質を中心に据えた経営に取り組むとともに、ウソのつけない仕組みやトレーサビリティシステムの導入など、品質データ等をサプライチェーンにおいて共有する取組を推進してくことが重要である。
(参考:ものづくり白書2019)
INSIGHT
経営層が現場を把握している企業は、品質トラブルの発生が減る。
経営層が現場状況を把握している企業ほどデジタル化への取り組みが進む。というのが、この各図表から示唆されている。
これはつまり、経営層の現場に対する姿勢や行動が、そのまま企業の良し悪しと相関性が高いことを示している。つまりこれは「事件は会議室で起きてるんじゃない、現場で起きてるんだ」と某刑事ドラマの有名なセリフと全く同じなのだ。
デジタル化が進んでいる企業は、経営者が現場を把握している企業であるというのは、デジタル化こそ経営者と現場を密につなぐ有効な手段であることを意味する。
トラブルの対策会議を会議室で長時間やるよりも、現場に直接行って行くか、現場をデジタル化して変化をタイムリーに察知する仕組みを導入すべきではないだろうか。
(IoTNEWS スマートファクトリー領域アドバイザー 鍋野)
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