2019年9月10日、THK、日本システムウエア、日本マイクロソフトは製造業向けコミュニケーションプラットフォーム「Omni THK」において業務提携を行うことを発表した。都内で行われた記者会見では、マイクロソフトの製造業分野におけるデジタルトランフォーメーションへの取り組み状況についても説明があった。
対面業務を非対面化する「Omni THK」
「Omni THK」の機能、およびTHK、日本システムウエア、日本マイクロソフトとの連携については、THK取締役・専務執行役員の寺町崇史氏(トップ画像)から具体的な説明があった。
「Omni THK」とは、LMガイド(機械の直線運動部を「ころがり」を用いてガイドする機械要素部品)のトップシェアメーカーであるTHKが2019年7月に提供を開始した、製造業向けのコミュニケーションプラットフォームである。
THK・寺町氏によれば、生産性向上のために今までの顧客との商談プロセスを分析したところ、対面業務が非常に多いことに気付いたという。そこでTHKは対面業務を非対面化し、集まるデータをクラウド上で活用して、業務の効率化・自動化を図る「Omni THK」を開発したそうだ。
「Omni THK」のシステム構成については下記図の通りだ。プラットフォーム上には、現時点で以下の4つのアプリケーションが完成しているという。
1つ目は短納期品の在庫検索や価格、納期、CADデータなどの情報取得にすぐにアクセスして入手ができる「Fast Delivery」。
2つ目はシステム上での見積り依頼、見積り書の取得、発注申請に必要な書類のダウンロードが出来るようになる「Orders」。
3つ目はAI画像解析や付帯情報を使った検索絞り込みにより部品共通化や設計ノウハウの共有ができる「Your Catalog」。
そして4つ目顧客の生産計画とTHK製品の供給時期・数量の一括管理により的確な発注時期を把握する「Forecast」だ。
今回の連携におけるマイクロソフトの役割は、「Omni THK」のベースとなるパブリッククラウドプラットフォーム「Azure」の提供および技術支援のほか、ブロックチェーンや複合現実といった周辺テクノロジーを活用した機能拡張の検証支援なども担うという。
また、日本システムウエアは継続的なアプリケーション開発およびそのサポートにおいて連携を行うとのことだ。

マイクロソフトを連携相手に選んだ理由についてTHK・寺町氏は「データを扱っていく上ではセキュリティを担保することが重要。その点で信頼がおける相手としてマイクロソフトを選んだ。また、THKが海外市場も視野に入れた展開において、グローバルなサポートを受けられる相手であることも大事な点であった」と語った。
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1986年千葉県生まれ。出版関連会社勤務の後、フリーランスのライターを経て「IoTNEWS」編集部所属。現在、デジタルをビジネスに取り込むことで生まれる価値について研究中。IoTに関する様々な情報を取材し、皆様にお届けいたします。