計装管理システムのクラウドサービスの構築を目指す
産業機械装置の流量計・配管を手掛けるリガルジョイントが、現在取り組んでいる施策の1つに「計装管理システムのIoT化の構築」がある。
同社の製造する流量計や配管継手は、半導体製造装置や液晶製造装置の工場向けに販売している。
半導体や液晶製造では、装置のオーバーヒートを防ぐ為に、適切量の冷却水が装置に流れているのかを常時、計測・監視する必要がある。オーバーヒートすると装置が停止し、生産性が下がり、故障の原因に繋がる可能性もある。この計測・監視の用途で流量計は使われている。
同社はこれら流量計・配管のデータを収集・管理することで製品の歩留りの向上や品質安定、工数削減に繫がるシステムの構築を自社のみに限らず、パートナー企業に展開するという構想を描いている。
そのファーストステップとして、自社工場における流量計の精度検査における、クラウド上での計測データ一元管理に着手している。
面倒な手書きでの精度検査
これまでリガルジョイントでは出荷前の流量計の精度検査を行った際に(1)流量計が表示する数値(2)マスターとなる「コリオリ流量計」(3)流量計からアナログ信号で出力される数値の、3つの値を紙のチェックシートに記入し、それぞれの数値が定められた精度範囲内に収まっているのかを目視で確認していた。
しかし、この方法では1つ1つの数値を手書きする手間がある上に、データを保存・分析したい場合はパソコンに手打ちでデータ入力をする必要があった。
検査データを一元管理
そこでリガルジョイントは以下のような方法で検査データを一元管理することにした。
まず流量計からアナログ信号で出力される数値と、マスターとなる流量計から得られる数値を流量管理システムと呼ばれるPLCボックスに送り、アナログ信号をデジタルに変換して無線LANへと送る。さらにデータはゲートウェイ「Armadillo-IoT G3 AGX3142-D00Z」を通して、クラウド上にあるIoTプラットフォーム「SensorCorpus」に送られる。
そして「SensorCorpus」のダッシュボード機能を使って、上記写真にある管理画面にアナログ出力の数値とマスターとなる流量計の数値を表示する。写真の「マスター」とある項目がパイプ本体からの数値、「計測値」とある項目がアナログ出力の数値だ。流量計本体に表示される数値に関しては、作業員が「LED」と書かれた項目に直接入力する。
数値が精度範囲外の場合、項目が赤く表示される。
クラウド上での管理に置き換えたメリットには
- 手書き管理の手間が省ける
- 目視による精度判定が無くなり、確認作業の正確さが上がる
- 紙媒体の記録をデジタルデータ保存に置き換える
の3点がある。
将来的には精度検査の自動制御を目指す
今回の取り組みでは精度検査における作業工程の削減まで実現できたわけだが、将来的にはクラウドに上がったデータを活用し、精度検査の自動制御が出来るようにリガルジョイントは取り組みを続けているという。
例えば現在の精度検査では水の流量を調節したい場合は作業員の手動で行っているが、これをクラウド上のデータを解析することで自動的に流量を調節できるようにしたいとのことだ。
今回の検査データ管理一元化は同社が取り組む「計装管理システムのIoT化の構築」の第1段階だと言える。
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1986年千葉県生まれ。出版関連会社勤務の後、フリーランスのライターを経て「IoTNEWS」編集部所属。現在、デジタルをビジネスに取り込むことで生まれる価値について研究中。IoTに関する様々な情報を取材し、皆様にお届けいたします。