労働人口の減少や賃金の上昇を理由に工場の自動化ニーズが高まり、産業用ロボット市場の伸長が続いている。自動車業界、電気電子業界に加え、昨今では食品や衣料品、化粧品業界などでも産業用ロボットの活用が進んでいる。
ヤマハ発動機株式会社は、多軸ロボット用コントローラ「RCX3シリーズ」にビジョンボードや照明ボード、トラッキングボードを組み込み、ロボットと一体化した「ビジョンシステム」を展開している。ロボット制御、画像処理、照明制御、コンベアトラッキングのデータ処理などをロボットプログラムのみで一括制御することができ、装置のセットアップ時間を短縮することができる。
そして今般、ヤマハ発動機は「ブロブサーチ(※)」機能を新たに搭載したビジョンシステム「RCXiVY2+」を6月1日より発売する。
同製品は、従来機種「iVY2」の後継モデルで、新機能追加や高性能カメラの採用、CPU能力の向上により、従来機種比最大45%のサーチ時間短縮を可能とした。特に、ブロブサーチの機能を追加したことで、工業製品に比べて形やサイズにばらつきが大きい食品や衣料品などにも対応可能となり、アプリケーションの幅が広がった。
同製品のブロブサーチは、従来機能エッジサーチに比べて2倍から10倍の速度でワークの検出が可能だという。生産ラインにおける食品、衣料品などの不定形物のピッキング、有無検査、多数ワークの高速カウントなどに対応している。スカラロボットと組み合わせることで高速コンベアトラッキングに適している。
その他の特長は以下の通り。
- 簡単オートキャリブレーション機能
- 簡単ワーク登録機能
- ビジョンプログラムをロボットプログラムのみで一括制御
- ムービングカメラにも対応
- 254品の登録品種数
- ロボットの自動運転中のサーチ状況をモニタ可能
ウィザードに従うだけの簡単操作でカメラキャリブレーションが完了する。
画像取り込み、輪郭設定、検出位置登録の3ステップでワーク登録が実施できる。
座標変換プログラムの作成は不要で、ロボットプログラムで一元管理できる。
カメラをロボットに取り付けた場合でも、ロボットの動きに合わせて座標を自動変換することが可能である。
サーチで使用する品種を254品種登録できる。これにより、品種番号を変更するだけで容易に段取り替えが可能だ。
RCXiVY2+ Studioおよび外部モニタで、ロボットを自動運転中のサーチ状況やキャリブレーション設定中の基準マークのサーチ状況をモニタすることができる。

※ ブロブサーチ:カメラで読み取った濃淡のあるグレー画像を、ある閾値を基準として白と黒の2階調に変換する「2値化処理」を行い塊の有無や数、面積などを検出するサーチ手法。
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