企業活動の生産性向上・稼働率向上のためには、運用中の設備・機器を止めないことが重要である。なぜなら、例えば通信サービス業ではデータセンター・クラウドサービスなどのサーバーやネットワーク装置、製造業では生産設備、建設業では建設機械、運輸業では運行管理システムといった各事業を支える設備・機器の故障・障害が大変な事業損失につながるからだ。
このような事態を回避すべくICT・IoTシステムの多様化・複雑さが増している中、大量のログから異常の予兆を早期に把握し、故障や異常そのものを未然に防ぐ術が求められている。
NTTアドバンステクノロジ株式会社(以下、NTT-AT)は、NTTネットワーク基盤技術研究所が開発したディープラーニングに基づいて異常検知・要因推定を実現するソリューション「DeAnoS」を搭載した異常予兆検知ソリューション「@DeAnoS」を2020年秋に販売を開始する。
@DeAnoSは、閾値やルールなどの保守者の経験や設計に基づく従来の異常検知方式では対応の難しかった「異常要因の推定」、「潜在的な未知の障害の発見」を、ディープラーニングにより解決へ導く。@DeAnoSの詳しい特長は以下の通り。
- 多様化、複雑化するICT・IoTシステム等の効率的、効果的な異常検知の低コスト化を実現
- 発見が困難であった障害や異常予兆検知、要因推定が可能
- BIツール(※1)との連携ソリューションによるユーザーフレンドリーな解析機能を提供
従来手法では、予め監視する項目を決め、項目ごとに設定した閾値やルールに基づく異常検知を行っている。@DeAnoSでは、ディープラーニングを用いて膨大な監視項目の相関関係を一度に学習することができるので、事前に対象とする異常ごとに必要なデータを絞り込む必要がなく監視設計が容易に実現できる。
また、監視対象となる装置やシステムの構成、利用状況等が変化した場合、モデルの更新やパラメーターチューニングが必要となるが、@DeAnoSではモデル自動更新機能、パラメーター自動チューニング機能を具備しているので、迅速な導入とともに効率的な異常検知が可能だ。
これらにより、サーバーやネットワークの監視はもちろん、IoTデバイスの監視や工場の生産ライン、プラント、IoT家電などの異常予兆検知に活用できる。また、企業現場の業務効率化、働き方改革に貢献するRPAツール「WinActor」との組み合わせにより、装置ログ等の収集、異常予兆検知後のアクションなどオペレーションの自動化を実現する。
異常の予兆を捉え障害を未然に防止すること、未知の、あるいは極めて稀にしか起きない障害の発見や見極めの難しい異常を迅速に判定することは重要な課題である。@DeAnoSでは、従来手法では困難だった「異常予兆検知」や「潜在的な未知の障害の発見」が可能となり、検知の見逃しを防ぐ。また、要因推定機能により異常の主要因を推定する。これにより異常個所の切り分けにかかる時間を短縮し異常の影響を小さくすることができる。
BIツールとの連携により、マウス1つで異常箇所の確認、絞り込み、推定された要因の確認が容易にできる。これらの機能により、異常の早期発見、障害からの早期復旧などが可能だ。
@DeAnoSの提供にあたり、NTT-ATでは顧客の環境への適用に向けた導入コンサルティングとして事前検証・PoC(※2)を実施し、提供形態の提案やカスタマイズ開発などの導入支援、導入後のコンサルティングサービスも提供する。これにより、AIソリューション導入を検討する企業をサポートする。
NTT-ATは今後、オンプレミス版に加え、クラウド版を提供予定だ。また、データ収集基盤との連携により、トータル監視ソリューションを提供する予定とした。
※1 BIツール:Business Intelligenceツールの略で、企業に蓄積されている膨大なデータを集約して、分析することができるツールを指す。
※2 PoC:Proof of Concept(概念実施)の略で、新たなアイデアやコンセプトの実現可能性やそれによって得られる効果などについて検証すること。
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